2021.12.1

運動

ながら運動とは何かを0から丁寧に解説|日常生活の場面別の運動方法

宮崎 光史

医師・医学博士/ヘルスコーチ

「運動不足なため、一刻も早く運動をスタートしたいと思っている」けれど、数年間運動とはほど遠い生活をしてきたため、何から始めれば良いか分からないという方は少なくないと思います。

運動をしたいという気持ちはあるけれど、忙しくてなかなか運動に手がつけられず、気づいたら一日が終わっていたなんてこともあるのではないでしょうか?

この記事では、そんな方向けに、日常の中のちょっとした隙間時間で行える「ながら運動」というものをご紹介したいと思います。

「ながら運動」とその効果

まずは、「ながら運動」とは何ぞやという部分をはっきりさせていくとともに、その効果や、取り組むにあたってのコツをお伝えしていこうと思います。

「ながら運動」とは

「ながら運動」とは、その名前の通り、「〇〇しながら」行う運動のことです。ながら運動の良いところは、きっちりと何時から何時まで運動をするというものではなく、たまたま出来た隙間時間にさくっと行える運動なので、仕事や家事と毎日忙しい人でも取り組みやすいところにあります。

運動になかなか取り組めない人の理由として、運動をしようと常日頃思っているけれど、仕事や家事に毎日を忙殺されて、時間が取れないという人が多いと思いますが、ながら運動ではそのような心配は必要ありません。

仕事が終わってから、7時から30分程運動をするという風にきっちりと時間を決めるわけではなく、仕事の休憩時間や隙間時間にちょこっと行うのが「ながら運動」の良いところで、いつでも気軽に行えて、心の負担になりにくく続けやすいというのが、ながら運動の最大のメリットといえます。

ながら運動で得られる効果

運動を行うことは、言うまでもなく心身の健康に良い影響をもたらします。運動を行うことにより、便秘やお腹の不調が改善したり、脂肪が燃焼されることにより、インスリン抵抗性という過剰な糖分が体に蓄積されることで起きる炎症状態が改善したりと、数多くのメリットがあります。

ながら運動を継続させるコツ

ながら運動を継続させるコツは、自分にとって高すぎる目標を立てないことです。運動を始める当初に意気込んで、達成することが難しい自分にとって高すぎるハードルを掲げることはリスキーだと言えます。

自分が掲げた目標を達成できれば問題ないのですが、自分にとって高すぎるハードル故に、達成できない日が続くと、メンタル的に挫けてしまう可能性が大いにあるところに要注意です。

高い目標を立てることは、ポジティブであり向上心の現れで良い側面がある一方、折角たてた目標が自分を苦しめてしまう可能性もあるわけです。

あえて、達成しやすい簡単な目標を掲げて、簡単な目標をいくつも達成していき、いつの間にか大きな目標が達成出来ている、というのがメンタル的にも体的にも無理なく運動を継続させるコツです。

コツは低いハードルを立てること

簡単な目標といわれても、具体的にどのような目標を立てればよいかイメージがわかない人も多いと思います。

そこで、分かりやすい例としておすすめしたいのが、まずは「ハードルの低い運動目標」を立てることです。とにかく簡単で、いくら気が乗らなくても気軽に取り組めるような目標を立てるのです。

それが苦も無く達成出来るようになった際には、もう一段階目標を上げるといったように、少しずつ目標を上げていくことが運動を継続させるコツです。

例えば、デスクワークで座りがちな人は、30分から60分に1回程度は、トイレ休憩や飲み物を取りに行くなどして、こまめに立ち上がることを意識してみて欲しいと思います。

ぜひ今日から、何気なく行っていた動作に、片足立ちという運動を最低でも1日に1、2回は付け足すことを目標にしてみてくださいね。

運動で健康になれるワケ

運動が健康に良いというのは、誰もが思う周知の事実かもしれません。では、なぜ運動を行うと健康になれるのか、具体的な理由について答えられますか?具体的に説明してくださいと言われると、そこまでは理解していない人もいるかと思います。

運動が健康に良い理由をきちんと理解することで、モチベーションを維持しつつ、賢く運動を行い、着実に効果を実感していただくため、この記事では運動を行うとなぜ健康になれるのか、その具体的な理由まで踏み込んで説明していきたいと思います。

代謝があがりダイエット効果がある

運動をすると、体の代謝が上がり、脂肪が燃えるためダイエット効果が出てきます。脂肪が燃えることで、肥満などが改善され、より健康になれますよね。

そんな代謝ですが、運動によって代謝が上がるこの仕組みには、「甲状腺」で分泌されるホルモンが関係しています。甲状腺という器官は、体の中の代謝を調整してくれる役割を果たし、体全体にとって大変重要な役割を果たす器官です。

運動によって得られるメリットは、脂肪燃焼だけではなく、代謝機能向上というメリットもあるのです。

便秘などのお腹の不調が改善される

運動によって甲状腺機能が改善されるということはお話しましたが、実は腸の動きも、この甲状腺から分泌されるホルモンが影響しています。

お腹の不調には様々な悩みがあると思いますが、その中でも、「便秘」のお悩みを抱えている人はたくさんいると思います。便秘とはどうのような状態か説明すると、腸の動きが正常に機能しておらず、便が溜まってしまっている状態です。

便秘と言うと、食べているものの問題一択とイメージするかもしれませんが、そんな便秘の状態を改善するために有効なもう一つの選択肢が、「運動」なのです。運動をすることにより、甲状腺機能が改善され、それにより腸の動きが活発になり、便秘は改善されていくのです。

日常生活の場面別ながら運動

では、日常生活の中で行える場面別のながら運動をご紹介していきたいと思います。人により、生活スタイルは様々だと思いますが、どんな人でもながら運動のタイミングは意外なところに転がっています。

家の中にいる時間が多い人、外出している時間が多い人など、様々な人がいるからこそ、それぞれにあった「ながら運動」スタイルがあるのです。

いくつか紹介する中で、あなたに合う「ながら運動」スタイルはどれになりそうかチェックしてみてください。

家事、テレワークの合間のながら運動

最近は、仕事を自宅で行う「テレワーク」という働き方が流行ってきて、自宅で過ごす時間が長くなった人も多いと思います。

テレワークだと、自宅で過ごす時間が長い分、体を動かす機会が少なくなってきて、運動不足になりがちだと考えるかもしれませんが、ちょっとした意識で「ながら運動」を行うことで運動不足は回避できます。

例えば、お手洗いにいくために席をたったついでに数回スクワットをする、椅子から立ち上がるついでに片足で立ち上がり体幹トレーニングをする、など毎日のちょっとした瞬間に、ながら運動を出来るタイミングは転がっているのです。

通勤途中のながら運動

通勤途中にもながら運動のチャンスは意外にも転がっています。例えば、通勤に電車を使う人であれば、椅子に座ることが出来た場合、降車駅で降りる際に、周りの人に迷惑をかけない程度に、少しだけ片足立ちになり立ち上がるというのはどうでしょう?

あなたの通勤タイムに隠れている、ながら運動チャンスを見つけてしまえば後は楽ちんです。分かってしまえば、翌日からはそれを実践していけば、ちりも積もれば山となる、です。

デスクワークの合間のながら運動

デスクワークが多い人は、運動不足になりやすいため要注意です。

健康でいるためには、なるべく座る時間を短くすることが大切になってくるため、ずっと座って仕事をしている人は、こまめに立ち上がることを意識するのが、ながら運動スタートのためのはじめの一歩です。

余裕があるときに、ゲーム感覚で、自分がどのくらい椅子に座っているか、ぜひ測ってみてください。自分が思うよりも長い時間椅子に座っていることに驚くと思います。そんな方はぜひ、椅子から立ち上がる時に「ながら立ちエクササイズ」を取り入れてみてください。

通勤途中のながら運動でもご紹介した、片足で椅子から立ち上がる、または座る、というプチながら運動を、あなたもぜひ実践してみてください。

ながら運動の注意点

ながら運動を行うことの注意点をいくつかご紹介したいと思います。これら注意点を意識して、ながら運動をあなたの日常の中に効率的に組み込んでいって欲しいと思います。

心理的ハードルが高い目標を掲げる

ながら運動を継続させるコツでもご紹介した通り、張り切って取り組みすぎて、自分のキャパを超えたところまで頑張りすぎないことが重要となってきます。

いくら気持が前向きでやる気に満ち溢れていても、最初の数日でバーンアウトしてしまうような、心の負担となる目標は掲げず、あくまであなたのペースでマイペースを保ちながら、楽しんで運動をしてくださいね。

疲労が残る激しい運動を避ける

これも、高い目標を掲げず、あくまでマイペースで楽しむという「ながら運動のコツ」の一つです。頑張り過ぎて疲労が残るような量の運動をしてしまうことも避けて欲しいことの一つです。

疲労が残っている状態だと、運動を行うのが億劫になって、運動に対するモチベーションが下がり、実行するのが億劫になってしまうため要注意です。

心理的ハードルが高い目標を掲げないとともに、身体的な面でもハードルが高すぎる目標を掲げないことをぜひ意識してみてください。

まとめ

自宅で行える「ながら運動」を今回はご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?

意外にも、取り組むまでのハードルが低く、何より、ながら運動を行うタイミングは日常の中に転がっているということがお分かり頂けたのではないでしょうか?

あなたもぜひ、何となく家で過ごすのではなく、ながら運動が出来るプチ運動タイムをゲーム感覚で見つけていき、運動を楽しんで欲しいと思います。

大切なのは、小さなことでも継続して積み重ねていくことです。ぜひ楽しみながら運動を行い、毎日をより健康に楽しく過ごしてくださいね。

この記事の監修者

宮崎 光史 医師・医学博士/ヘルスコーチ

東京医科歯科大学卒、同大学院卒。医師(元消化器外科医、元日本 DMAT医師)・医学博士、ヘルスドクター。クライアントを持つ治 療家支援、法人向け健康指導などを含めた、病院外での健康増進、 病気予防のサポートを行う。