2021.12.1

運動

自宅で「運動不足」を解消する6の方法|食前に運動すると良い理由

宮崎 光史

医師・医学博士/ヘルスコーチ

運動をしなくてはと思ってはいても、忙しい毎日に手いっぱいになってしまいなかなか取り組めないことは誰にでもあると思います。

忙しいから仕方がないと半ば諦めの思いがでてきつつも、世の中には考えられない程の過密スケジュールにも関わらず、欠かさず運動をしているスーパーマンのような人々は存在しています。

そんなスーパーマンと私との差は何か考えた際に、特別な違いがあると思うかもしれませんが、実は、その差は本当にちょっとしたところにあったのです。

この記事では、忙しい人でも「運動不足」を解消できる、ちょっとしたコツをお伝えしていこうと思います。

運動不足が引き起こすリスクと、運動をするメリット

「運動不足が健康に良くない、そして反対に、運動をすることは健康に良い」ということは誰しもが漠然と認識をしていると思います。だからこそ、「運動不足は良くない。一刻も早く運動をしなければ!」という発想になるわけですが、一つ質問です。

「運動不足にはどのようなリスクがあり、運動をすることにどのようなメリットがありますか?」

この質問はシンプルなようで、意外と難しいと思います。具体的にスラスラと回答出来る人はあまりいないのではないでしょうか。

運動に関する正しい知識を身に付けた上で運動を効率的にスタートするため、ここでは、運動不足が引き起こすリスクと、運動を行うメリットを具体的にお伝えしていこうと思います。

運動不足が引き起こすリスク

ここでは、運動不足が私たちの体に引き起こすリスクについて、具体的に説明をしていきたいと思います。

腸の活動が不活発になり、便秘になりやすくなる

運動をすることは、腸を正常に機能させることや、便秘を改善するために大変重要となってきます。運動をすることにより、甲状腺と呼ばれる、体の中の代謝の機能を司る器官が刺激され、腸の運動が活発化され、溜まっていた便が排出されるのです。

そもそも、便秘の原因には、「便の内容物の問題(食事の問題)」と「腸管の動きの問題」の二つがあり、後者に有効になってくるのが他でもない「運動」です。

そう考えると、運動不足がいかに腸にとってよくないか分かると思います。運動不足気味で、腸管の動きが改善されていない状態で、いくら食べ物に気を付けても便秘は改善されず、残念なことに、むしろマイナスになる可能性まであるのです。

肥満は腸の機能を鈍らせる

運動不足の状態だと、当然ながら体の脂肪は蓄積されていくばかりです。当然、肥満は慢性疾患のリスクを高める大きな要因の一つですが、もう一つ、腸にとっても良くない状態を引き起こします。

運動不足による肥満は、腸内細菌の数を減らし、腸内環境を乱す要因の一つにもなります。正常に腸を機能させるためには、腸内細菌の「多様性」が重要となってくるのです。

肥満気味の人とそうでない人とでは、腸内細菌の編成が異なっており、肥満気味の人ほど、同じものを食べても太りやすくなる「フィルミクティス」という腸内細菌の数が多く、腸内細菌の種類自体が乏しくなるということが分かっています。

つまり、まとめると、肥満の状態は、腸内細菌の数を減らし、腸内環境を乱すことで腸の機能を鈍らせてしまう良くない状態なのです。

運動をすることによるメリット

では、運動不足によるリスクを確認できたところで、次は運動をすることによるメリットを見ていきたいと思います。

運動をすると心身の健康に良いということは何となく分かっていても、具体的にどのようなメリットがあるかをこの機会にきちんと理解し、これからの運動を効率的にスタートさせていただきたいと思います。

便秘の改善

先程リスクのところでも取り上げたように、腸が正常に機能していないことが、便秘の原因の一つである可能性があります。そうなると、逆に考えれば、運動を行い、腸の動きを活発化させることが便秘の改善に繋がることにもなります。

運動をすることにより、腸の機能を活発化させるために大きな役目を果たしているのが、「甲状腺」という器官です。甲状腺と腸は、一見関係がなさそうに見えるかもしれませんが、甲状腺は、腸の機能を正常にコントロールするために重要となってくる器官なのです。

甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモンの分泌が正常に行われることで、腸はきちんと働いてくれて、それが便秘改善につながってきます。

ただ、食べ物だけを気を付ければ便秘が改善されるというわけではなく、便秘の根本の原因に向き合い、改善していくことが便秘改善のためには大切になってくるというのがお分かりいただけたでしょうか?

腸の機能が改善してお腹の調子がよくなる

甲状腺機能が改善することにより、腸の機能も改善していくため、これら二つは深い関係性があるということは先程説明しました。運動をすることの理由として、甲状腺機能を改善していくということはもちろんですが、もう一つ運動が腸の機能改善に良い理由があります。

運動が体に良いもう一つの理由としては、体の筋力や、腸の中の筋力を鍛え、物理的刺激を与えることにより、腸機能を改善出来るという点があります。筋トレなどにより物理的に腸に刺激がいくと、腸の機能が正常に動くようになってくるのです。

そう考えると、便秘やお腹の不調の根本的な解決には、時間をかけた地道なマネジメントが重要となってくることが分かると思います。

自宅で簡単に運動する上でのポイント

では、具体的に運動方法に入っていく前に、運動をしていく上でのポイントを抑えていきたいと思います。

食事前に運動して脂肪燃焼

意外かもしれませんが、運動を行うタイミングは効率よく脂肪を燃焼させていくために重要となってきます。具体的におすすめしたタイミングとしては、朝起きてから、朝食を摂る前に行うのがおすすめです。

というのも、食事をした後の体内では、上昇した血糖値を抑えるためにインスリンが出てくるのですが、このインスリンが分泌されている状態では、脂肪は燃えにくい状態になっています。

食後の、インスリンが分泌していて脂肪が燃えにくい状態で運動をするより、食事前のインスリンが分泌されていない状態の運動のほうが、同じ運動でも効果が出やすいのです。

また、一晩寝て元気が蓄えられた朝に運動を行うことが特におすすめです。

無理をせず短時間で高強度の運動をするHIITトレーニング

運動を効果的に行い、確実に成果を出すためには、何十分もジョギングをしなければならないと考える方もいるかもしれませんが、ここでは、短時間に集中的に行うHIITトレーニングというものを紹介したいと思います。

HIITトレーニングというのは、何十分もかけて行う運動ではなく、短時間、全力で集中して運動をし、短時間休憩をはさむ、というのを繰り返していく運動方法です。

HIITトレーニングの中の一つに「タバタトレーニング」が挙げられます。何時間も続けて運動をし続けなければならないものではなく、比較的短時間で行えて、運動効果も得られやすいためぜひ一度試してみてくださいね。

参考:立命館大学「タバタトレーニング」

自分の体をいじめすぎない

また、運動を行うにあたり気を付けなければいけない点は、無理をしすぎて自分の体をいじめすぎないことです。

HIITトレーニングであれば、短時間で行えるにしても、全力で行う分、体にはそれなりの負荷がかかるため、行うのは週に1、2回にして、しっかりと休養をとることを意識してください。

運動を行うにあたっては、ただ行うだけではなく、適切な頻度で、しっかりと休養をとるといったバランスを重視していくことをぜひ忘れないでくださいね。

毎日の運動を習慣化する

運動を毎日継続していく上で重要となってくるのが、運動習慣を身に付けることです。誰しも最初は、新しい習慣を身に付けることは難しいでしょう。あなたも、新しい習い事をしようと思い立ったものの、数日間しか続かず、結局三日坊主で終わってしまったような経験はありませんか?

人間は、現状を維持したいという潜在的な欲求があるため、新しい習慣を身に付けることは、現状を脱却するイレギュラーな状態だと認識し、知らず知らずのうちに、新しい習慣を拒否しているのです。

新しいことが長続きしないのは、自分の意思が弱いからだと自分を責める人がいるかもしれませんが、人間の本能的に仕方のないことなのです。

週に1、2回という簡単な運動目標をたてる

では、どうすれば、慣れない運動を毎日の習慣に出来るのでしょうか。答えは簡単で、心理的ハードルを感じない簡単な運動目標を立てることです。

簡単な運動目標という点から考えても、先程おすすめしたHIITトレーニングは、行う時間は短時間でも、全力をふり絞り行うため、体の負荷的にも、週に1、2回の頻度で行うのがおすすめなため、1週間のうちあまり時間がとれない人におすすめです。忙しい人でも、週に1、2回程度なら時間をとれるのではないでしょうか。始める前に、「あ、何となくやりたくない。嫌だな」と感じない、簡単に達成できる運動目標を立てることが大切になってきます。

ながら運動で楽しみながら運動する

さらに、運動効果をあげるためにおすすめしたいのが、「ながら運動」です。この時間帯に絶対やらないといけないというものではなく、ふとした家事などの合間に行う運動のことをここでは言っています。

例えば、洗濯物を干しながらスクワットをするなど、日常生活の合間に意識して行えるながら運動は意外とあるはずです。普通に家事をするだけでも結構な運動になりますし、外出する際は、いつも降りているバス停や駅のひとつ手前で降りて歩く、階段をなるべく使うといったことも効果的です。

他には、洋服を着るときや、靴を履くときなど、日常のほんのちょっとした場面で片足立ちになるなど、至る所に「ながら運動チャンス」は隠れています。

ぜひ、日常生活の中のどこに、ながら運動が隠れているかを意識しながら毎日を送っていってくださいね。

自宅で簡単に運動不足解消する6の方法

ここからは、具体的におすすめできる自宅で出来る運動メニューをご紹介していきます。その場モモ上げ、ジャンピングジャック、高速スクワット、腕立て伏せ(膝をつきながらでもOK)は、ご説明したHIITトレーニングに組み込めますので、どれが自分にとって取り組みやすいかという観点から見てみてください。

ネットで調べてみると、やり方動画などたくさん載っていますので、是非調べてみて欲しいと思います。

その場モモ上げ

その場でモモ上げをする運動なので、マンションなどで、あまり激しい運動が出来ない人におすすめです。

ジャンピングジャック

この運動は、全身を大きく動かす運動のため、バランスよく全身を動かせておすすめです。

高速スクワット

スクワットは、筋トレの種目として誰もが知る有名な筋トレ方法だと思います。新しい運動方法を取り入れるのにハードルを感じる人は、ぜひ馴染みのあるスクワットなどから始めてみてはいかがですか?

腕立て伏せ(膝をつきながらでもOK)

腕立て伏せというと、アスリートがやっていそうな難しいものを想像するかもしれませんが、そこまで難しい方法でなくて、膝をつきながら行う方法で大丈夫です。

無理をせず、翌日に疲れを残さない範囲で運動を楽しんでいただきたいと思います。

片足立ちで体幹トレーニング

デスクワークで一日中座りっぱなしになりがちな人は、意識してこまめに椅子から立ち上がることをおすすめします。

その際に、ながら運動の延長線上で行ってほしいのが、片足で座る、立つ、というプチ運動です。ただ片足立ちで体幹トレーニングを行うのも良いですが、ながら運動であれば続けやすいのでおすすめです。

トランポリン

楽しみながら新しい運動に挑戦してみたいという方は、トランポリンを使用して運動をすることもおすすめです。地上で運動をするより負荷がかかる運動なため、効率的に脂肪を燃やすにはおすすめです。

筆者も行ったことがありますが、お気に入りの音楽などをかけながら行うと、楽しく行えるので非常におすすめです。

寝る前の深呼吸でさらに健康体へ!

運動に加えて、より健康になるために出来る方法としておすすめしたいのが、寝る前にリラックスして行う深呼吸です。

寝る前少しの深呼吸で質の良い睡眠を

副交感神経が優位になっていると、質の良い睡眠がとれ、疲れがすっきりとれます。また、腸の動きも、副交感神経が優位な時に活発になります。

ベッドに入る前に、立った状態で正しい姿勢を意識して、ゆっくりと深呼吸をし、就寝してみてください。きっと力が体からすっと抜け、いつもよりリラックスしていることを実感出来るのではないかと思います。

まとめ

運動不足を解消する方法を色々とご紹介してきましたが、いかがでしたか?自分でも実践できそうな内容はありましたか?

運動を継続していくためのポイントは、あくまでマイペースで運動を楽しむことですので、ぜひ自分が無理を感じない範囲で、楽しく運動習慣をつけていき、心身ともに健康な毎日を送って欲しいと思います。

この記事の監修者

宮崎 光史 医師・医学博士/ヘルスコーチ

東京医科歯科大学卒、同大学院卒。医師(元消化器外科医、元日本 DMAT医師)・医学博士、ヘルスドクター。クライアントを持つ治 療家支援、法人向け健康指導などを含めた、病院外での健康増進、 病気予防のサポートを行う。