2021.12.1

腸活

リーキーガットを改善する4つの方法│ 慢性的な不調を引き起こす理由

宮崎 光史

医師・医学博士/ヘルスコーチ

これといった原因はないけれど、「何となくお腹の調子がよくない。」、「体がだるい。」ということ、ありますよね。風邪をひいているわけではないけれど、何となく体調が優れなくだるいという方は、もしかすると腸の炎症が関係しているかもしれません。

腸の不調は、お腹の調子だけに関係するものだと思いがちかもしれませんが、実は、腸の不調は体全体の慢性的な不調と深い関係性があります。

この記事では、「リーキーガット」とよばれる腸の不調の一つを、改善方法も重ねてご紹介していきたいと思います。なんとなく毎日だるく、元気がでないという方は、自分が当てはまるかどうかチェックしながら読んでみてください。

リーキーガットとその仕組み

ここでは、「リーキーガット」とはどのような症状なのか、その症状と仕組み、不調の種類について解説していこうと思います。

リーキーガットとは?

聞きなれない言葉かもしれませんが、「リーキーガット」とは、英語で「Leaky gut」と書き、「漏れる腸」と直訳することが出来ます。(消化器専門家の中では「腸管壁浸漏(ちょうかんへきしんろう)」とも言われています。)

「漏れる腸」と言われても何のことか理解が難しいと思いますが、簡単に言えば、腸の壁に穴が開き、そこから有害物質が血液中に漏れていってしまう炎症状態のことを呼びます。

リーキーガットが起きる仕組み

詳しく説明すると、腸内の細胞一つ一つを繋いでいる鍵のようなものが緩み、細胞の壁に穴が空いてしまっている状態です。本体、腸の壁は細胞一個一個に、「タイトジャンクション」という鍵のようなものがかかっており、それにより腸は守られているのです。

しかし、アレルギー反応や感染症など、何らかの要因で腸内環境が乱れると、鍵(タイトジャンクション)が緩み、腸の壁に穴が空いてしまいます。そして、穴の空いた腸の壁から、細菌や毒素、未消化の食べ物が血液中に漏れ出てしまうのです。

リーキーガットと慢性的な不調との関係性

本来、腸から漏れ出すはずのない腸内の細菌などが血液中に漏れ出てしまうので、体としては、異常事態が起きたと感じ、異物を処理するために免疫が働き始め、リーキーガットは、この免疫機能を狂わしてしまいます。

腸に穴が空き、ばい菌が血液中に漏れ出す状態が常に起こっていると、免疫の働きが頻回になってきて、だんだんと免疫機能が暴走してしまい、それは最終的には慢性的な体の炎症状態を引き起こすのです。

原因は分からないけれど、毎日何となく調子が悪いという方は、もしかすると腸の炎症状態である「リーキーガット」が関係しているかもしれません。

リーキーガットが引き起こす慢性的な心身の不調

では、リーキーガットの概念を理解した上で、具体的にどのような症状が引き起こされるのかを見ていきたいと思います。

メタボなどの体の不調

先程、リーキーガットは体の慢性的な不調を引き起こすと説明しましたが、この症状が怖いのは、免疫が過剰に働くことにより、アレルギーや自己免疫疾患を引き起こす可能性まで孕んでいる点です。

これらの他にも、リーキーガットは、腸内環境を乱すのはもちろん、糖尿病や高血圧、メタボリック症候群や成人病を引き起こす大きな要因にもなります。

リーキーガットは腸だけではなく体全体の不調を引き起こすということは、逆に考えると、腸内環境を改善して、リーキーガットを改善していくことは、全身の炎症を改善していくことにも繋がるということです。

ストレスなどの心の不調

ストレスと脳と腸は深い関連性があり、脳でストレスを感じると、ホルモンや神経伝達物質を通して脳から腸にダイレクトにメッセージがいきます。

そして、ストレスホルモンは腸の中の悪玉菌の増殖を促進してしまいます。人間誰しも社会生活を送っている限りストレスはありますが、毎日毎日ストレスに溢れた生活をしていると、腸内環境が乱れてきてしまい、本来しなければならない消化、吸収が正常に機能しなくなってしまいます。

最終的には、消化、吸収が上手く行われなくなると、メンタル障害が起きる可能性があり、メンタル障害が引き起こされると、さらに腸内環境が乱れるという負のループに陥ってしまうのです。

リーキーガットも例外ではなく、ストレスを受けて腸内環境が乱れることにより、リーキーガットが引き起こされますので、ストレスとリーキーガットは切っても切り離せない関係であると言えます。

リーキーガット状態では良い菌も届かない

また、リーキーガットが厄介なのは、リーキーガットの状態では、腸の善玉菌を助けるプロバイオティクスを含む食品を摂ったとしても、意味がなくなってしまう点です。

本来なら、プロバイオティクスを摂取すれば、善玉菌の活動が活発化して腸内環境が整っていくはずなのですが、リーキーガットの状態では意味がなくなってしまうのです。

つまり、リーキーガット状態では、腸内環境を整えるためのアクションも意味がなくなってしまい、かえって良くないこともあるのです。

リーキーガットを引き起こす日常的な原因

ここでは、リーキーガットの原因となる、腸内環境を乱す日常的な原因をいくつか紹介していきたいと思います。

痛み止めなどの薬

痛み止めなどの薬は、腸の粘膜を委縮させるため、リーキーガットを引き起こしやすくします。ただの軽い風邪なら抗生物質は飲まず、自分の免疫だけで治すということをぜひ意識していただきたいと思います。

パスタなどの小麦

小麦に含まれているグルテンも、リーキーガットを引き起こす原因となります。小麦には、グルテンという粘り気のあるタンパク質が含まれており、このグルテンが体に悪さをすることがあります。

グルテンが持続的に体内に入ってくると、グルテンに対して作られる抗体が出来ます。厄介なのはこの抗体で、この抗体は、グルテンの構造に似た甲状腺や脳、すい臓の組織を攻撃してしまうのです。そうなると、1型糖尿病や小脳失調症、甲状腺機能低下症の原因となる橋本病を引き起こす可能性が出てきてしまいます。

ジュースなどに含まれる人工甘味料

ジュースやドレッシング、お菓子などに含まれる人工甘味料もリーキーガットを引き起こす原因になります。遊離した果糖が血糖値を上げて肝臓に負担をかけ、リーキーガットをも誘導させてしまうのです。

買い物をする際は、裏面の表示を見る癖をつけ、人工甘味料が書かれているものは極力避けて欲しいと思います。

リーキーガットを引き起こしやすい毎日の習慣

私たちが普段、何気なくやっている毎日の習慣の中にある、リーキーガットを引き起こしやすい習慣3つをここでは紹介していきたいと思います。ぜひ、自分が何気なく行っている習慣が入っていないかという観点からチェックしてみて欲しいと思います。

間食のおやつを欠かせない

リーキーガットを引き起こしやすい毎日の習慣の一つに、間食にお菓子などを食べている人が挙げられます。おやつに含まれているであろう人工甘味料はリーキーガットを引き起こしやすいため、人工甘味料が含まれているお菓子やジュースを頻繁に食べている人は要注意です。

また、お菓子の中に含まれている糖質は、インスリン抵抗性を上昇させて炎症を引き起こし、悪玉菌やカンジダ、がんのエサとなってしまうため、毎日お菓子を食べる習慣がある人は、少しずつその習慣をやめていくことを目標として欲しいと思います。

偏った食事をしている人

小麦もリーキーガットを引き起こしやすい食品の一つです。例えば、必ずパスタやパン、うどんなどの小麦がメインの多様性のない偏った食事をしている人は要注意です。

先程ご説明した通り、パスタやパンなどの小麦に含まれているグルテンはリーキーガットを引き起こす要因となるため、小麦はあくまで嗜好品として、小麦を食べる頻度を今一度見直して欲しいと思います。

また、米に含まれている糖質も過剰に摂り続けると体に良くないため、腸内環境を整えるためにも、多様性のあるバランスの良い食事を摂ることを、ぜひ意識してください。

ストレスマネジメントが出来ていない人

食事という観点から少し視点をずらし、メンタル面でのNG習慣をご紹介したいと思います。リーキーガットを引き起こすメンタル的な原因の一つに「ストレス」があります。

ストレスは腸内環境を乱し、リーキーガットを引き起こす主な要因になるため、毎日ストレスを貯めっぱなしにしている人は、ストレスが溜まるほどに腸内環境が乱れている可能性もあることを自覚し、自分に合ったストレスマネジメント方法を考えてみてください。

リーキーガットを改善するための毎日のアクション4つ

ここでは、リーキーガットを改善していくために、毎日気軽に行えるアクション4つを具体的に紹介したいと思います。ぜひ毎日に取り入れて、腸に良い習慣4つとして、体に染みこませて欲しいと思います。

体に良い食品を摂り、腸内環境を整える

リーキーガットに対するアクションとして、体や腸に良い食品を摂取するという方法が挙げられます。ここでおすすめしたいのは、「良い油」、「野菜」を積極的に摂る食事法です。

先程、「糖質」は体に良くないというお話をしましたが、現状、私たちは日常的に必要以上の体にとって過剰な糖分を摂っており、「糖質」をメインのエネルギー源とする「シュガーバーニング」といわれる体の状態となっています。

それを、「油」を体のメインエネルギーとする「ファットバーニング」と言われる状態に移行して欲しいと思います。「油」と聞くと、体に良くない悪であるというイメージをするかもしれません。しかし、それは半分が正解で、半分が不正解です。

「良い油」と「悪い油」とは?

油には、実は「良い油」と「悪い油」の2種類があります。例えば、使いまわされた油は悪い油で、体に炎症を引き起こすため避けた方が良い油になります。しかし、反対にアボカドやエキストラバージンオリーブオイルは積極的に摂りたい良い油の代表例です。

おすすめは、サラダにオリーブオイルをかけて食べる方法です。あなたもぜひ、これら体に良い食品を積極的に摂り、バランスの良い、体や腸に優しい食事を心がけて欲しいと思います。

毎日数分でも運動して腸の動きを活性化させる

実は、運動は腸の機能を改善してくれます。運動をすることは、甲状腺機能を活発化させ、腸の運動を改善してくれます。というのも、実は、腸の動きを司っているのは、甲状腺からでてくる甲状腺ホルモンなのです。

甲状腺は、体の中の代謝の調整役で、体調に併せて代謝を高めたり、必要に応じて落としたりする役割を担っており、体にとっては大変重要な器官の一つで、腸の運動も甲状腺ホルモンの働きによって代謝をコントロールされています。

甲状腺機能と腸の動きは深い関係性があり、便秘気味で腸の調子が悪い人は、甲状腺機能が低下していると考えられます。

つまり、甲状腺機能を改善していくことは腸の機能を改善していくことにもつながります。

寝る前の深呼吸で質の良い睡眠を

腸は、自律神経とも深い関連性があり、腸が活発に機能するのは、副交感神経が優位になっている時です。睡眠時に、副交感神経を優位にさせ、質の良い睡眠を取ることは、腸の機能改善に繋がるため、質の良い睡眠を行うためにも、ベッドに入る前に深呼吸をして、リラックスした状態で就寝してみてください。

ストレス発散方法を見つける

ストレスは、腸内環境を乱すため、ストレスマネジメントすることは腸を正常に機能させるために重要になってきます。ストレスは誰にでもありますが、あなたにとってストレスが発散出来ると感じるストレス発散方法をぜひ身に付けて欲しいと思います。

寝る前に深呼吸をする、森林浴をする、近所を散歩するなど、あなたなりのストレス発散方法を探して上手にストレスと付き合っていって欲しいと思います。

まとめ

今回は、腸の炎症の一つである「リーキーガット」について、改善方法などを説明してきました。普段は腸について深く考える機会はないかもしれませんが、一日の中で、少しでも自分の腸について考える時間を意識的に作り、腸から健康になって欲しいと思います。

紹介した改善方法は、日常の中で取り組みやすいものをピックアップしましたので、ぜひ実践してみて下さいね。

この記事の監修者

宮崎 光史 医師・医学博士/ヘルスコーチ

東京医科歯科大学卒、同大学院卒。医師(元消化器外科医、元日本 DMAT医師)・医学博士、ヘルスドクター。クライアントを持つ治 療家支援、法人向け健康指導などを含めた、病院外での健康増進、 病気予防のサポートを行う。