2022.03.14

腸活

リーキーガットを改善する4つの方法│ 慢性的な不調を引き起こす理由

宮崎 光史

医師・医学博士/ヘルスコーチ

原因がわからないのに、「何となくお腹の調子がよくない…」「体がだるい…」と感じることはありませんか?風邪を引いているわけでもないのに、体調や気分が優れないという方は、もしかすると腸の炎症が関係しているかもしれません。

腸の不調は、お腹の調子だけに関係するものだと思われがちですが、実は身体全体の慢性的な不調と深い関係があります。その慢性的な不調の原因かもしれない、「リーキーガット」という腸の不調の一つに焦点を当てて解説していきたいと思います。

リーキーガットを引き起こす原因となる食品や、改善するために行うべき生活習慣などもご紹介いたします。なんとなく毎日だるい、元気が出ないという方は、ぜひ最後までご覧ください。

リーキーガットとその仕組み

「リーキーガット」とはどのような症状なのか、その仕組みや不調の種類について解説いたします。

リーキーガットとは?

聞きなれない言葉かもしれませんが、「リーキーガット」とは、英語で「Leaky gut」と書き、「漏れる腸」と直訳することが出来ます。(消化器専門家の中では、「腸管壁浸漏(ちょうかんへきしんろう)」とも言われています。)

腸の壁に穴が開き、そこから有害物質が血液中に漏れてしまう炎症状態のことを呼んでいます。

リーキーガットが起きる仕組み

本来、腸の壁は細胞一個一個に、「タイトジャンクション」という鍵のようなものがかかっており、それにより腸は守られています。その腸内の細胞ひとつひとつを繋いでいるタイトジャンクションが緩むと、細胞の壁に穴が空いてしまいます。

その原因は、アレルギー反応や感染症など、何らかの要因で腸内環境が乱れることにあります。そして、穴の空いた腸の壁から、細菌や毒素、未消化の食べ物が血液中に漏れ出てしまうのです。

リーキーガットと慢性的な不調との関係性

本来、腸から漏れ出すはずのない腸内の細菌などが血液中に漏れ出てしまうので、体は異常事態が起きたと感じます。そして、異物を処理するために免疫が働き始めるのですが、リーキーガットはこの免疫機能を狂わしてしまうのです。

腸に穴が空き、ばい菌が血液中に漏れ出す状態が常に起こっていると、免疫の働きが頻回になってきて免疫機能が暴走してしまい、最終的に慢性的な体の炎症状態とります。

このことから、原因不明の不調に悩まされている方は、腸の炎症状態である「リーキーガット」が関係している可能性があると言えます。

リーキーガットが引き起こす心身の不調

リーキーガットが原因と考えられる症状には、どのようなものがあるのかをご紹介いたします。

自己免疫疾患

リーキーガットのせいで免疫が過剰に働くことにより、腸そのものが炎症を起こし、自己免疫疾患であるクローン病や潰瘍性大腸炎を発症する可能性があります。

クローン病とは炎症性腸疾患のひとつで、主に小腸や大腸などの消化管に炎症が起きることによりびらん(皮膚や粘膜の表皮が欠損し、下部組織が露出した状態)や潰瘍ができる病気です。 主な症状としては、腹痛、下痢、血便、発熱、肛門付近の痛みや腫れ、体重減少などがあります。 また、さまざまな合併症が発現することがあります。

メタボなどの成人病

腸内環境が乱れることは、糖尿病や高血圧、メタボリック症候群や成人病を引き起こす大きな要因にもなります。腸内細菌がきちんと食物繊維などを分解することで作られる、酢酸、酪酸、プロピオン酸などの「短鎖脂肪酸」は、人間のエネルギー源となるだけでなく、以下のような多様な働きを持っています。

・交感神経を刺激することで体温の上昇やエネルギー消費を促す
・脂質や糖の代謝促進
・脂肪蓄積の抑制
・食欲を抑制するホルモンを腸管内分泌細胞に分泌させる

逆に言えば、腸内環境が乱れているとこれらの働きが著しく悪化するので、メタボリック症候群になる可能性が上がるということです。

メンタル障害

ストレスと脳と腸は深い関連性があり、脳でストレスを感じると、ホルモンや神経伝達物質を通して脳から腸にダイレクトにメッセージがいきます。

そして、ストレスホルモンは腸の中の悪玉菌の増殖を促進してしまいます。人は誰しも多少のストレスを抱えていると思いますが、過剰なストレスに溢れた生活をしていると腸内環境がどんどん乱れ、消化機能や吸収などが正常に行われなくなってしまいます。

最終的には「メンタル障害」につながり、さらに腸内環境が乱れるという負のループに陥ってしまうのです。リーキーガットも同様、ストレスを受けて腸内環境が乱れることにより引き起こされるので「ストレス」と「リーキーガット」は深く関係していると言えるでしょう。

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リーキーガットを引き起こす日常的な原因

ここでは、リーキーガットの原因となる、腸内環境を乱す日常的な原因をいくつか紹介していきたいと思います。

痛み止めなどの薬

痛み止めなどの薬は、腸の粘膜を委縮させるため、リーキーガットを引き起こしやすくします。軽い風邪だったら抗生物質は飲まず、自分の免疫だ力けで治す意識を持っていただきたいと思います。

パスタなどの小麦

小麦に含まれているグルテンも、リーキーガットを引き起こす原因となります。小麦には、グルテンという粘り気のあるタンパク質が含まれており、このグルテンが体に悪さをすることがあります。

グルテンが持続的に体内に入ってくると、グルテンに対して作られる抗体が出来ます。厄介なことに、この抗体はグルテンの構造に似た甲状腺や脳、すい臓の組織を攻撃してしまうのです。そうなると、1型糖尿病や小脳失調症、甲状腺機能低下症の原因となる「橋本病」を引き起こす可能性が出てきてしまいます。

ジュースなどに含まれる人工甘味料

ジュースやドレッシング、お菓子などに含まれる人工甘味料もリーキーガットを引き起こす原因になります。遊離した果糖が血糖値を上げて肝臓に負担をかけ、リーキーガットを誘導してしまうのです。

お買い物をする際は、裏面の表示を見る癖をつけ、人工甘味料が書かれているものは極力避けるようにしましょう。

リーキーガットを引き起こしやすい毎日の習慣

何気ない毎日の習慣の中にある、リーキーガットを引き起こしやすい習慣3つをご紹介していきます。

間食のおやつを欠かさない

リーキーガットを引き起こしやすい毎日の習慣の一つに、間食にお菓子などを食べている人が挙げられます。おやつに多く含まれている人工甘味料は、リーキーガットを引き起こしやすいため、お菓子やジュースを頻繁に飲食している人は要注意です。

また、お菓子の中に含まれている糖質は炎症を引き起こし、悪玉菌やカンジダ症、ガンのエサとなってしまうため、毎日間食する習慣がある人は、食べるものの質を変えるなどの努力をしてほしいと思います。

偏った食事をしている

パスタやパン、うどんなどの小麦がメインの多様性のない偏った食事をしている人は要注意です。

パスタやパンなどの小麦に含まれている「グルテン」は、リーキーガットを引き起こす要因となるため、小麦はあくまで嗜好品として楽しむ程度にしましょう。

また、米に含まれている糖質も過剰に摂り続けると体に良くないため、腸内環境を整えるためにも多様性のあるバランスの良い食事を摂ることを意識してください。

ストレスマネジメントが出来ていない

リーキーガットを引き起こす原因には、「ストレス」もあります。「腸脳相関」という言葉があるほど、ストレスは腸内環境を乱し、リーキーガットを引き起こす主な要因になります。

ストレスを溜め込んでいる自覚のある方は、自分に合ったストレスマネジメント方法を見つけてください。

リーキーガットを改善するための毎日のアクション4つ

リーキーガットを改善していくために、行うべきアクション4つをご紹介したいと思います。ぜひ日常に取り入れて、腸に良い習慣を身につけましょう。

腸内環境を整える食事をする

リーキーガットに対するアクションとして、体や腸に良い食品を摂取するという方法が挙げられます。ここでおすすめしたいのは、「良いアブラ」や「野菜」を積極的に摂る食事法です。

工業性の質の悪いアブラは、腸内環境を乱し健康を害する原因になります。質の高いアブラを選び、腸内環境を整えてくれる善玉菌や、食物繊維を多く含む野菜を摂ることでリーキーガットの予防・改善をすることができます。

「良いアブラ」と「悪いアブラ」とは?

サラダ油や使いまわされた油は質が悪く、体に炎症を引き起こすため避けるべきアブラになります。エキストラバージンオリーブオイルやMCTオイル、グラスフェッドバターは積極的に摂るべき良いアブラの代表例です。

サラダやスープにオイルをかけて食べたり、炒め物にはギーやココナッツオイルを使うなど、質の高いアブラを摂る習慣を身につけてほしいと思います。

毎日数分でも運動をする

運動をすることは、甲状腺機能を活発化させ、腸の運動を改善してくれます。その理由は、腸の動きを司っているのは甲状腺から出てくる甲状腺ホルモンだからです。

甲状腺は体の中の代謝の調整役で、体調に併せて代謝を高めたり、必要に応じて落としたりする役割を担っており、体にとっては大変重要な器官の一つです。腸の運動も、甲状腺ホルモンの働きによって代謝をコントロールされています。

甲状腺機能と腸の動きは深い関係性があり、便秘気味で腸の調子が悪い人は、甲状腺機能が低下していると考えられます。つまり、甲状腺機能を改善することは、腸の機能を改善していくことにもつながります。

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寝る前に深呼吸をする

腸は、自律神経とも深い関連性があります。腸が活発に機能するのは、副交感神経が優位になっているときなのです。副交感神経が優位になった状態で質の良い睡眠を取ることは、腸の機能改善に繋がります。

ベッドに入る前には数回深呼吸をして、リラックスした状態で就寝してみてください。

ストレス発散方法を見つける

ストレスは腸内環境を乱すため、ストレスマネジメントをすることは腸を正常に機能させるために重要になってきます。

寝る前に深呼吸をする、森林浴をする、近所を散歩するなど、自分に合ったストレス発散方法を見つけましょう。そして、上手にストレスと向き合っていって欲しいと思います。

まとめ

腸の炎症の一つである「リーキーガット」について、改善方法やNG習慣などを解説してきました。腸内環境は、お腹だけでなく全身に影響を及ぼすため、心も体も健康でいたい方は腸の調子を整えることを無視してはいけません。

リーキーガットは、さまざまな要因が重なって引き起こされる症状です。ご自身の生活習慣の中で心当たりがあったら、なるべく早めに見直してほしいと思います。

この記事の監修者

宮崎 光史 医師・医学博士/ヘルスコーチ

東京医科歯科大学卒、同大学院卒。医師(元消化器外科医、元日本 DMAT医師)・医学博士、ヘルスドクター。クライアントを持つ治 療家支援、法人向け健康指導などを含めた、病院外での健康増進、 病気予防のサポートを行う。