2022.03.29

食事・栄養

ケトジェニックダイエットの効果的な方法|NG食材やデメリットは?

宮崎 光史

医師・医学博士/ヘルスコーチ

「ケトジェニックダイエット」と聞くと、あまり聞き慣れない言葉にイメージがしにくい方も多いでしょう。減量するだけが目的のダイエット方法というより、体質から改善していくことで知られています。

ケトジェニックは「ケトーシス」から由来していますが、今回はその意味や効果などを詳しく解説していきます。

さまざまな食品であふれる現代で、ケトジェニックダイエットを行うことは簡単ではありませんが、自身の生活に取り入れられるかをぜひ判断してみてください。効果をきちんと出すための食材の選び方も要チェックです。

ケトジェニックダイエットを解説

「ケトジェニックダイエット」を初めて聞いたという方でもわかるように、基本からご説明いたします。

ケトジェニックダイエットとは?

ケトジェニックダイエットは、炭水化物の摂取を1日あたり合計約20〜50gに制限し、多くの健康的な脂肪、自然に育てられた肉/魚/卵、発酵食品を食べることを重視したダイエット方法です。

炭水化物を大幅に減らし、ブドウ糖の供給を制限することで、体は脂肪をエネルギー源として代謝し始めます。よって、脂肪を燃焼しやすい体にすることができます。

ケトーシスとは?

炭水化物ではなく、主に脂質をエネルギー源として代謝し、ケトン体を生成する状態のことです。つまり、炭水化物を食べずに栄養が足りなくなったとき、血液中にはケトン体が多く流れている状態です。

ケトン体は、血液の循環に乗って脳や筋肉へと分配され、最終的に体を動かすエネルギー源として使われるのです。

ケトーシスの利点は?

ブドウ糖は紙と葉のようなもので、すぐに利用されエネルギーを素早く高めるエネルギー源です。それに対しケトン体は、ゆっくりと効率的に燃焼するという点では木炭をイメージしていただけると良いでしょう。

よってエネルギーの持久力がアップし、空腹感を感じにくくなったり、集中力が長続きしたりします。また、生活習慣病を予防し、さまざまな疾患を軽減する効果もあります。

ケトジェニックとは?

ケトジェニックは、低糖質・高脂肪食のことです。糖質制限と同義語のように捉えている方も多いと思いますが、違いは糖質制限の厳格度にあります。

もともとは、心臓病の手術を肥満患者が受けるための食事療法として取り入れられていたこともあり、短期間ですぐに減量できるのが特徴です。

この利点から、本来、日常的な食事・食べ物を意味する「ダイエット」と合わせて、ケトジェニックダイエットと呼ばれ広く知られるようになりました。

 

ケトジェニックダイエットのメリット

ケトジェニックダイエットには、減量できるだけでなくさまざまな役立つメリットがあります。

肌荒れが改善される

とくに、甘い物やパンなどが大好きで、肌荒れに悩まされている方は効果が表れやすいかもしれません。ニキビや吹き出物などの原因は、糖質の過剰摂取であることが多いからです。

ケトジェニックダイエットは、その糖質を制限する方法なので、皮脂が少なくなったり腸の状態が整い肌荒れが改善されることが期待できるのです。

空腹感がなくなる

ダイエットは「空腹に耐えるのが辛い」というイメージをお持ちの方が多いと思いますが、ケトジェニックダイエットは脂質をしっかり摂る方法のため、意外と空腹感を感じないことに気づくと思います。

グラスフェッドバターやMCTオイルを、コーヒーやスープに入れて朝食として摂るだけで、お昼までお腹が空かなかったり間食をしたくなくなったり、以前との違いを感じるでしょう。

頭が冴える

昼食後、眠くなったことがある方は多いのではないでしょうか?これは、主食がご飯やパンなどの炭水化物だから起こる現象です。炭水化物などの糖質は、摂取すると血糖値が上昇し、体内でブドウ糖へと変化します。そこで、ブドウ糖を分解するために膵臓からインスリンが分泌されるのです。

糖質を過剰に摂取すると、インスリンが働きすぎてしまうため正常よりも血糖値の値が低くなり、一時的に低血糖状態に陥ります。

この一連の流れが食後の眠気と関係しており、糖質制限をするケトジェニックダイエット中は眠気を感じにくくなり、頭が冴えるようになるのです。

体重が落ちやすい

ケトジェニックダイエットは、体重が増える原因となる糖質を制限し脂肪が燃えやすい体に近づけるため、体重が落ちやすいことがメリットです。

また、炭水化物は水分を保持しているため、摂取を控えると水分量が減り体重にも影響が出ます。そのせいで、痩せたことを実感しやすいのかもしれません。

単純に食べる量を減らすダイエットとは違い、きちんと脂質を摂取することであまりストレスを感じず、頭がボーッとするなどのデメリットもありません。ただし、体質によっては合わないこともあるので様子を見ながら行いましょう。

 

ケトジェニックダイエットのデメリット

ケトジェニックダイエットを始める前に、とくに初期に出る症状などを把握しておきましょう。

甘い物への欲求が出る

とくに、今まで甘い物が大好きだった方は、ケトジェニックダイエットを行ううえで多少の我慢は必要でしょう。しかし、ストレスを貯め込みすぎると継続が難しくなってしまうため、置き換えることを考えましょう。

例えば、砂糖の代わりにラカントなどの自然由来の甘味料を使い、バターはグラスフェッドのものを選んで自家製ケーキを作ってみたり、オートミールクッキーを焼いてみたり。手作りのおやつを選べば、食べられないことによるストレスを回避できます。

気分にムラが出る

炭水化物を極端に減らしすぎてしまうと、頭痛や倦怠感などの症状を引き起こしてしまう方がいます。これは、体が今まで糖質を主要なエネルギー源にしていたところから、脂質がエネルギー源に変わったことが理由だと考えられます。

このケトーシス状態に慣れるまでに、大体1〜2週はかかると言われています。

お金がかかる

ケトジェニックダイエットでは、良質な脂質やたんぱく質がメインの食生活を送ることが必要なため、食費が高くなります。炭水化物や質の良くない菓子やジュースは安価で購入できるため、最初はオーガニック食品などの価格設定に戸惑うかもしれません。

しかし、自然由来の食品は大量生産の食品のように安価で多く出回ることは本来あり得ません。自分の食に対する基準が変わる、良いきっかけになるでしょう。

 

ケトジェニックダイエットの方法

ケトジェニックダイエットを行ううえで、知っておくべきことをお伝えいたします。

1日の食事のとり方

冒頭でご説明したように、ケトジェニックダイエット中は1日あたりの炭水化物摂取量を約20〜50gに制限します。そして、オーガニックで自然飼育や自然に捕獲されたたんぱく質源を多く摂取します。

総カロリーの60〜80%以上を脂質から摂取し、残りのカロリーは野菜とたんぱく質からの摂取となるでしょう。

外食するときのコツ

レストランに行ったときは、肉や魚などのたんぱく質の料理を選び、単純糖質(米、とうもろこし、じゃがいもなど)の代わりに野菜を追加しましょう。

ソースやドレッシングの代わりに、エクストラバージンオリーブオイルまたはバターを別に持ってきてもらえたらベストです。

ダイエットのペース配分

ケトジェニックダイエットを始めたばかりの方は、体がケトーシス状態になるまでの2〜4週間は適量のたんぱく質をきちんと摂るようにしましょう(体重1kgあたり1.0〜1.2g)。

体調が良いと感じ始めたら、炭水化物を普段より多めに摂取する日(約100g)を試してみて、ケトーシス状態から抜けた体調を見てみてください。多くの方は、最初の頃は炭水化物を摂っていたときの方が体調が良かったように感じますが、そこでさらに継続していくことが重要です。

明らかな不調を感じない限り、続けていきましょう。

 

食べるべき食材・避けるべき食材

ここでは、食べるべき食材・避けるべき食材を具体的にご紹介していきます。

食べるべき食材

多様な色の、オーガニックで血糖を上げにくい野菜や果物を食べましょう。

低糖質の野菜・果物

最高の野菜:玉ねぎ/ねぎ/濃い緑の葉野菜/ブロッコリー/カリフラワー/芽キャベツ/アスパラガス/アーティチョーク/大根/ニンニク/セロリ/生姜など

血糖を高めにくい果物:グレープフルーツ/オーガニックのベリー系果実/青リンゴ/アボカドなど

良質な脂質

エクストラバージンオリーブオイル/ココナッツオイル/アボカドオイル/グラスフェッドバター/ギー/動物性脂肪/ナッツ/種子類など

たんぱく質

天然ものの食材:魚/赤身の肉/鶏肉/豚肉/オーガニックの卵など

調味料

塩/コショウ/バジル/オレガノ/タイム/ローズマリー/ターメリック/シナモン/カルダモンなど

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避けるべき食材

成分表示が載ったラベルをいつも確認して、不健康なアブラ、人工甘味料、砂糖などを避けましょう。

多糖質野菜・果物

根菜:じゃがいも/さつまいも/人参など
豆類:エンドウ豆/インゲン豆/レンズ豆/ひよこ豆など
ほとんどの果物:上記に挙げた果物以外/ドライフルーツなど

不健康な脂質

加工植物油/サラダドレッシング/マヨネーズなど

無糖ダイエット食品

無糖キャンディー/シロップ/プリン/ゼリーなど

アルコール

ビール/ワイン/お酒を混ぜた飲み物など

 

自分がケトーシスかを知る方法

自身がケトーシス状態になっているのかを知る方法がありますので、以下を参考にしてみてください。

空腹感で判断する

体が、脂肪をより効率的に燃焼するにつれ、空腹感が軽減されていきます。

尿意で判断する

体が、過剰なナトリウムとアセト酢酸を排泄している可能性があり、より頻繁に尿意を催すことがあります。

息や汗の状態で判断する

アセトンの影響で、息や汗がマニキュアや果実のような臭いになることがあります。

 

まとめ

ケトジェニックダイエットは、主要なエネルギー源として脂肪を摂取することを重視し、ケトンの生成と利用ができる身体への移行を促す食事療法のことです。

ケトーシスは多くの病態や症状に有効であることが明らかになっており、治療法としてケトジェニックダイエットが利用されている研究報告は少しずつ増えてきています。

一流のスポーツ選手や、有酸素系運動の選手も研究している食事法、あなたも無理のない範囲でチャレンジしてみてください。

この記事の監修者

宮崎 光史 医師・医学博士/ヘルスコーチ

東京医科歯科大学卒、同大学院卒。医師(元消化器外科医、元日本 DMAT医師)・医学博士、ヘルスドクター。クライアントを持つ治 療家支援、法人向け健康指導などを含めた、病院外での健康増進、 病気予防のサポートを行う。