2022.07.15

食事・栄養

グラスフェッドビーフの栄養価を解説|健康に良いとされる理由と特徴

吉松 邦夫

研究者/講師

グラスフェッドビーフ」という品質が高いお肉があることを知ったけど、どのようなお肉なのか、その特徴などはわからない方が多いと思います。

そこで今回は、グラスフェッドとはどういう意味か、どんな栄養が含まれているのかを解説していきたいと思います。

牧草牛から作られるバターやギーの栄養価について、その他の摂取すべき良質な脂質などもご紹介していますので、ぜひ理解を深めて健康増進に役立ててください。

グラスフェッドビーフとはどんなお肉?

「グラスフェッドってどういう意味?」という初心者の方までわかるように、基本からご説明いたします。

グラスフェッドビーフとは?

「グラスフェッドビーフ」とは、基本的に牧草のみを食べて育てられた牛肉のことを言います。自然に近い環境で放牧され、穀物はほぼ与えられません。

その肉質は、脂肪が少なく赤身が多く高タンパク・低カロリー。広大な土地で適度な運動をしながら育つため身が引き締まっており、良質なタンパク質を摂取できることからアスリートにも好まれています。

食べてみるとサッパリとした味わいで胃がもたれないうえ、肉本来の旨味が凝縮されており噛めば噛むほどまろやかな甘味が感じられるのが大きな魅力です。

普通の牛肉とここが違う!

日本で流通しているほとんどの牛肉は「グレインフェッドビーフ」と言い、人工的に配合した穀物を与えられ牛舎の中で育てられています。

より短期間で大きく育て、また脂肪がたくさん入った霜降り肉にするために、カロリーの高いトウモロコシなどの穀物を与えて運動を制限し、人工的に太らせる飼育が主流です。

牛は本来、草を食べさせて育てるのがあたり前ですが、現在は、食肉として育てられている家畜の餌は遺伝子組み換えの穀物が牛、豚、鶏に与えられているのが現状です。そして、多くの家畜は病気になっており、その肉を食べた多くの人の病気につながっていると言われています。

グラスフェッドビーフを食べていれば安全なの?

当然、トウモロコシや大豆、菜種等の遺伝子組み換えの餌を食べている牛よりも、牧草を食べさせた牛の方が健康で良い肉となっているに決まっていますが、人が口に入れる食べ物のカロリーが10%を超えるとタンパク質の摂り過ぎとなり、ガンなどの病気に発展するという データーがあります。その様な理由でお肉を食べること自体ほどほどにすべきなのです。

日本人の食事摂取基準」というものがあり、これによると、体重1kgあたり0.9gのタンパク質を摂取すれば、1日に必要なタンパク質量を満たせるとあります。ですが、このタンパク質の量は私達人間にとって、本当に必要なのかどうか疑問があるところです。

小腸で消化できなかったものを排泄するために大腸に流れていきますが、同時に細胞分裂が最も盛んな小腸の壁が崩壊して流れてきます。その崩れたものを善玉菌が食べて、「アミノ酸」を作り出しているので、人が生きていくのに必要とされるタンパク質の量は、実際は3割程度で十分なのです。

70kgの体重の方だとしたら、食品から摂取するタンパク質量は、20〜21g程で足りるということです。これ以上タンパク質を摂り過ぎると、それが逆に悪玉菌のエサになり、彼らの吐き出すインドール、スカトールなどの毒素で大腸にポリープができたり肝臓ガンになります。

この事実は、普通の人はほとんど認識していないため、お肉の食べ過ぎには気を付けるべきと言えるでしょう。

 

グラスフェッドビーフのすごい栄養価を解説

グラスフェッドビーフが、健康志向の人々の間で高い評価を得ているのには裏付けされた理由があります。実際、人間が古来から食してきた牛肉はグラスフェッドビーフであり、人工的に飼育されたグレインフェッドビーフと比較しても高い栄養価を保有しているのです。

必須脂肪酸である「オメガ3脂肪酸」が豊富

牧草牛は、「オメガ3脂肪酸」を豊富に含んだ牧草を食べて育てられています。そのため、一般的に流通している牛肉に比べ、人間の体内では作れない不飽和脂肪酸であるオメガ3脂肪酸が、グレインフェッドビーフに比べ2〜5倍含まれています。血液をサラサラにする効果や、抗炎症作用が期待できる栄養素なので、アスリートの方も好んで食べています。

話題の「オメガ3」って何?|アブラの種類や摂る際の注意点も解説

 

アンチエイジングにも効果的

若返りのビタミンとも言われる「ビタミンE」には、高い抗酸化作用があります。抗酸化作用とは、動脈硬化やガン、老化などを引き起こす原因になると言われている「活性酸素」を取り除き、酸化を抑える働きのことです。活性酸素は皮脂を酸化させ、シミやしわの原因を作るとも言われています

抗酸化作用によって体内の脂質の酸化を防いでくれることで、美肌を保つアンチエイジング効果が期待できます。また、動脈硬化や血栓の予防、血圧の低下、LDL(悪玉)コレステロールの減少、細胞膜を健全に保つなどの働きがあり、加齢によって発症しやすい疾患の予防に役立つ栄養素なのです。

他には「β-カロテン」も豊富に含み、こちらも抗酸化作用があり、体内では必要に応じて「ビタミンA」に変換されて働きます。ビタミンAは、薄暗いところでも見える「夜間視力」の維持や、外界からのバリア(防壁)である皮膚・粘膜を健康に保つなど、免疫力の保持にも貢献する栄養素です。

 

 

加熱する料理には、グラスフェッドバター・ギーがおすすめ

加熱に向く油と、そうではない油があるのをご存知ですか?加熱に向かない油を使って高温調理をすると、健康を害する可能性が上がるので、ぜひ理解しておきましょう。

グラスフェッドバターとギーって何?

牧草牛のミルクを使用して作られたバターは、一般的なバターと比べて口当たりが軽くしつこすぎない上品なコクが特徴です。ギーは、さらにバターからタンパク質、水分、不純物を取り除いた純粋な脂肪分だけを集めたものになります。

カロリーは、グラスフェッドバターもグレインフェッドの一般的なバターもほぼ同じです。ギーのカロリーは、1gあたり約9キロカロリーと一般的な油とほぼカロリーに差はありません。

バターが1gあたり7.5~8キロカロリーなので、バターよりギーの方が少しカロリーが高いですが、そこまで大きな違いはないと言えるでしょう。

安心して加熱料理に使える

油脂は、空気中の酸素分子と反応して「酸化」するという特徴があります。酸化することで、色や味が変化するだけでなく、栄養価が低下し、「過酸化脂質」という悪い油ができると言われています。

過酸化脂質とは、 酸化された脂質の総称で、ガンや老化・動脈硬化などを引き起こすとされる体にとって有毒となる物質です。油脂の酸化はそのまま放置しておいても進みますが、加熱によってさらに促進されるため、加熱調理では注意が必要なのです。

炒め物や揚げ物では、油の温度は150~200℃近くまで上がるので、非常に酸化しやすい条件となります。そこで、酸化を気にせず調理に使えるアブラというのが、バターやギー、ラード、ココナッツオイルなどの「飽和脂肪酸」なのです。

飽和脂肪酸は健康を害する?|1日の理想的なアブラ摂取量をご紹介!

 

ココナッツオイルとは?

ココナッツオイルとは、ココヤシの実の胚乳から抽出される油のことです。飽和脂肪酸の中の「中鎖脂肪酸」を多く含んでおり、消化吸収がすみやかで分解が早いのが特徴です。

約20℃以下になると固まる性質を持っており、酸化しにくく熱に強いのが魅力で炒めものに最適です。栄養価の点で重視するなら、低温で圧縮された「バージンココナッツオイル」を選ぶと良いでしょう。

中鎖脂肪酸の一種である「ラウリン酸」が、ココナッツオイルの脂肪酸の約50%を占めており、細菌・ウイルスに対する抗菌効果が認められていたり、風邪予防やアンチエイジングにも効果があると言われています。

エキストラバージンオリーブオイルも加熱料理に使える!

エキストラバージンオリーブオイルとは、オリーブの実を絞っただけのオイルのことです。加熱や加工をしていない、自然の状態に近い製品は風味もよく美味しいので、料理にそのままかける食べ方がおすすめです。

もちろん、加熱料理にも使うこともでき、発煙点が176〜210℃と言われているため、加熱しても有害な化合物は生成されにくいことが明らかになっています。

エキストラバージンオリーブオイルの品質を損なう大きな要因は酸化です。エキストラバージンオリーブオイルとは、酸化率が1%以下ということを意味しています。さらに、製造されてから保存している間に、光に当たって品質がグッと落ちてくる場合があります。

それは、光に当たって中身が劣化する「光劣化」というものです。そのため、なるべく遮光されているビンに入っているものを選びましょう。直射日光、高温、光は酸化の原因となるため、保管するなら暗くて涼しい場所(常温暗所)が最適です。

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まとめ

グラスフェッドビーフと一般的な牛肉の違いや、健康に良いとされる理由がおわかりいただけたでしょうか?大量生産される牛肉は安価で手に入りやすく自然飼育された牛肉は高価ですが、飼育環境などの背景や栄養価のことを理解すると、納得いただけると思います。

また、良質な脂質を摂取することは私達の健康維持のためには必要不可欠なので、使用するアブラにも気を遣うようにしてください。

自身や家族の健康のためはもちろん、環境のためにも、牛肉を食べたいときはグラスフェッドビーフを選ぶことを視野に入れていきましょう。

 

 

 

この記事の監修者

吉松 邦夫 研究者/講師