2022.03.30

食事・栄養

3分で分かるグラスフェッドビーフ│健康に良いとされる理由と特徴

田中康規

麻酔科医/ヘルスコーチ

「グラスフェッドビーフ」という品質が高いお肉があることを知ったけど、どのようなお肉なのか、その特徴などはわからない方が多いと思います。

そこで今回は、グラスフェッドビーフとは何か、どんな栄養が含まれているのかを解説していきたいと思います。

牧草牛から作られる栄養価の高いバターやギー、その他の良質な脂質もご紹介していますので、ぜひ理解を深めて健康増進に役立ててください。

グラスフェッドビーフとはどんなお肉?

グラスフェッドってどういう意味?という初心者の方までわかるように、基本からご説明いたします。

グラスフェッドビーフとは?

「グラスフェッドビーフ」とは、基本的に牧草のみを食べて育てられたのことを言います。自然に近い環境で放牧され、穀物はほぼ与えられません。

その肉質は、脂肪が少なく赤身が多く高タンパク・低カロリー。広大な土地で適度な運動をしながら育つため身が引き締まっており、良質なタンパク質を摂取できることからアスリートにも好まれています。

食べても胃がもたれないうえ、肉本来の旨味が凝縮された味わいが大きな魅力です。

普通の牛肉との違い

日本で流通しているほとんどの牛肉は「グレインフェッドビーフ」と言い、人工的に配合した穀物を与えられ牛舎の中で育てられています。

より短期間で大きく育て、また脂肪がたくさん入った霜降り肉にするために、カロリーの高いトウモロコシなどの穀物を与えて運動を制限し、人工的に太らせる飼育が主流です。

牧草を食べる牛が良い理由

人間が古来から食してきた牛肉はグラスフェッドビーフであり、グレインフェッドビーフと比較しても高い栄養価を保有しています。

グラスフェッドビーフを選んで食べ続けることで、減量・美容・脳機能の改善・病気予防にも効果的だと言われています。ストレスのない環境で大切に育てられた方が、牛肉の持つ本来の効果・効能を備えていることは明らかでしょう。

グラスフェッドビーフが健康志向の方々に好まれる理由

グラスフェッドビーフが、健康志向の人々の間で高い評価を得ているのには、きちんと裏付けされた理由があるからなのです。

一般的に流通している牛肉に比べ、人間の体内では作れない不飽和脂肪酸の「オメガ3脂肪酸」がグレインフェッドビーフに比べ2〜5倍含まれています。これは血液をサラサラにする効果や、抗炎症作用が期待できる栄養素です。

オメガ3脂肪酸であるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などは、青魚に多く含まれていますが、毎日食べることは比較的難しいでしょう。牧草牛は、オメガ3脂肪酸を豊富に含んだ牧草を食べて育てられているため、良質な脂質が凝縮されているのです。

また、ビタミンE、β-カロテン、CLA(共役リノール酸)などの栄養素が豊富に含まれています。グレインフェッドビーフと比べて低コレステロールで飽和脂肪酸量が少ないのが特徴です。

健康を守り大きな病気のリスクを抑えるのに重要な「オメガ3」と「オメガ6」必須脂肪酸が豊富に含まれていることが、健康志向の方々に好まれる理由と言えるでしょう。

「良い脂質」を積極的に摂ろう

グラスフェッドビーフに、良質な脂肪が多く含まれていることはおわかりいただけたと思います。その他にもある、日常で摂るべき「良いアブラ」をご紹介いたします。

グラスフェッドバターとギー

牧草牛のミルクを使用して作られたバターは、一般的なバターと比べて口当たりが軽くしつこすぎない上品なコクが特徴です。ギーは、さらにバターからタンパク質、水分、不純物を取り除いた純粋な脂肪分だけを集めたものになります。

グラスフェッドバターやギーは、体内でビタミンAになるβ-カロテンやビタミンEが多く含まれており、抗酸化作用や生活習慣病予防に効果的です。

植物油

植物を搾って作った油で、代表的なものには「パーム油」「ごま油」「米油」などがあります。低温圧搾製法やオーガニックなどの植物性油脂であれば問題はありませんが、植物油脂を原料とした加工品には注意が必要で、とくに「サラダ油」を摂りすぎるのは問題です。

「マーガリン」「ショートニング」「ファットスプレッド」などの食品には、体に悪影響を及ぼす「トランス脂肪酸」が含まれています。植物性油脂を選ぶときは、低温圧搾製法であることと、オーガニックであることを判断基準にすると良いでしょう。

ココナッツオイル

ココナッツオイルとは、ココヤシの実の胚乳から抽出される油のことです。飽和脂肪酸の中の「中鎖脂肪酸」を多く含んでおり、消化吸収がすみやかで分解が早いのが特徴です。

約20℃以下になると固まる性質を持っており、酸化しにくく熱に強いのが魅力で炒めものに最適です。栄養価の点で重視するなら、低温で圧縮された「バージンココナッツオイル」を選ぶと良いでしょう。

中鎖脂肪酸の一種である「ラウリン酸」が、ココナッツオイルの脂肪酸の約50%を占めており、細菌・ウイルスに対する抗菌効果が認められていたり、風邪予防やアンチエイジングにも効果があると言われています。

エキストラバージンオリーブオイル

エキストラバージンオリーブオイルとは、オリーブの実をしぼっただけのオイルのことです。加熱や加工をしていない、自然の状態に近い製品は風味もよく美味しいので、料理にそのままかける食べ方がおすすめです。

もちろん、加熱料理にも使うこともでき、発煙点が176〜210℃と言われているため、加熱しても有害な化合物は精製されにくいことが明らかになっています。

エキストラバージンオリーブオイルの品質を損なう天敵は、「酸化」です。そのため、なるべく遮光されているビンに入っているものを選びましょう。直射日光、高温、光は酸化の原因となるため、保管するなら暗くて涼しい場所(常温暗所)が最適です。

まとめ

グラスフェッドビーフと一般的な牛肉の違いや、健康に良いとされる理由がおわかりいただけたでしょうか?大量生産される牛肉は安価で手に入りやすいですが、飼育環境などの背景や栄養素のことを理解すると、納得いただけると思います。

また、良質な脂質を摂取することは私達の健康維持のためには必要不可欠なので、使用するアブラにも気を遣うようにしてください。

自身や家族の健康のためはもちろん、環境のためにも、食事の中に少しずつグラスフェッドビーフを取り入れてみましょう。

この記事の監修者

田中康規 麻酔科医/ヘルスコーチ