2022.03.30

睡眠

睡眠不足の解消法を実践レベルで知ろう!|免疫力アップと病気の予防

田中康規

麻酔科医/ヘルスコーチ

睡眠が思うように取れていない現代人は少なくありません。体の疲れが取れなかったり、慢性的な不調に悩まされているのは、睡眠不足が原因の可能性があります。

睡眠不足が続くと、健康や生活への悪影響が顕著に表れるようになってきて、やがて思いがけない病に発展してしまいます。

実際に、睡眠不足というものがどのような状態なのか、どんな影響を及ぼすのかの理解を深め、改善していく必要があります。そこで今回は、睡眠不足の解消法や質の良い睡眠へ導くためのコツをお伝えしていきたいと思います。

あなたは睡眠不足?

睡眠不足がどんな状態を指すのか、ご自身の日常の様子をまず振り返ってみましょう。

睡眠不足とは

十分な睡眠を取ることができていないせいで、日中に仮眠を必要とする状態を指します。睡眠時間が何時間以下だと睡眠不足と呼ばれるなどの定義はなく、体質や年齢、性別などの個人的な要因に左右されます。

質の高い睡眠を取れたかの基準は、その人が日中眠気を感じずに過ごせたかによるでしょう。

睡眠不足チェックリスト

下の睡眠不足チェックリストに一つでも該当し、生活に支障をきたすようであれば早めに医療専門職員に相談しましょう。

  1. 床についてもなかなか30分から1時間以上眠りにつけない
  2. 夜間睡眠中に何度も目が覚める
  3. 希望する起床時間より早く目覚め、その後眠れない
  4. 眠りが浅く、 睡眠時間の割に熟睡した感じが得られない
  5. 日中気分よく過ごせない
  6. 日中いつものように活動できない
  7. 日中眠くて仕方がないことがある 

現代社会の睡眠不足

睡眠不足を感じている方の多くが、現代特有の問題を抱えていることにより悪循環に陥っています。

現代人は夜型

日本の就労者や子ども達は、睡眠時間が世界で最も短いと言われています。また、ライフスタイルの変化に伴い”夜型化”している人も増加しています。

夜遅くまでスマートフォンやパソコンの画面を見ていて、就寝時間・起床時間が後ろにずれてきている人も少なくありません。夜間にブルーライトを浴びることで、睡眠を促すホルモンである「メラトニン」の分泌が抑えられ、睡眠のリズムが乱れ慢性的な睡眠不足状態に陥ってしまうのです。

睡眠不足が引き起こす睡眠障害

睡眠不足が続くと自律神経のバランスを崩し、頭痛や耳鳴り、めまい、倦怠感などの身体の不調や、イライラ、集中力や意欲の低下、うつ状態が強くなります。

そのせいで寝つきが悪くなったり、夜中途中で目覚めてしまったり、目覚めが早すぎて二度寝もできないなどの「不眠症」と呼ばれる睡眠障害に悩まされることもあります。

ストレス過多と悪循環による睡眠不足

現代人は、仕事や学校などの人間関係や、家庭内のストレスに毎日さらされています。この状態は交感神経を刺激して脳や体を興奮させるため、睡眠障害を引き起こしやすくなります。

さらに、パソコンやスマートフォンの普及により、ビジネスや娯楽で使用する時間は長くなり、交感神経が優位になる機会が多くなっています。ストレス解消の場がネットである人も少なくないため、就寝時間は遅くなり睡眠時間は短くなりがち。まさに、悪循環であると言えるでしょう。

睡眠不足が引き起こす身体への影響

睡眠不足の状態が続くことで、体への影響がどのくらいあるのかを理解しましょう。

身体が悲鳴を上げている?

睡眠不足は、脳や体のあらゆる生態系に壊滅的な影響を及ぼします。自律神経のバランスが崩れることにより内臓機能が低下し、血管が収縮し血液循環やホルモンバランスが崩れる事態に。

自律神経は内臓や血管の機能をコントロールしてくれる神経で、睡眠中でも呼吸や胃腸の働きを整えてくれます。

毎日何千個も生まれるガン細胞と戦ってくれている免疫システムも、自律神経が正常に機能しているからこそガンを取り除いてくれています。睡眠不足により免疫力が下がると、ガン細胞を増殖させてしまう原因になってしまうのです。

精神への影響

睡眠不足は交感神経の増幅につながるため、情緒不安定となって症状に表れます。そして、やがて不安やうつ、双極性障害などの症状を引き起こし、自殺につながる可能性も高くなるのです。

また、交感神経が優位になることにより怒りっぽくなったり過敏になり過ぎたりする人もいます。社交的な場でも、他人の感情や反応を上手く読み取れないことが起こり、コミュニケーションがスムーズに運ばなくなることも考えられます。

生活全般において、見方や感じ方にまでも影響を及ぼすと言えるでしょう。

病気を引き起こすリスク

睡眠不足は、アルツハイマー、脳卒中、慢性痛、ガン、糖尿病、心臓発作、不妊症、肥満、免疫不全などの多くの疾患と関連があると言われています。

生活習慣病や肥満との関係は、食欲を司るホルモンの乱れが関わるとされています。睡眠不足になると、食欲を抑制し満腹感をもたらす「レプチン」というホルモンの分泌が減少し、食欲を高める「グレリン」というホルモンが増加します。

結果、必要以上に食べてしまい、生活習慣病や肥満のリスクも高くなってしまうのです。

睡眠の質を上げる重要なポイント3選

現代の睡眠不足の原因を取り除く方法や、睡眠の質を上げるためにすべきことを解説いたします。

睡眠をきちんと取ってスッキリするための睡眠時間

全米睡眠財団が推奨する睡眠時間は年齢ごとに異なり、18〜64歳の成人における睡眠時間を7〜9時間、それより若年世代は多い睡眠時間、高齢世代は少ない睡眠時間を推奨しています。

  • 新生児 16〜18時間
  • 未就学児 11〜12時間
  • 児童 最低10時間
  • 10代  7〜9時間
  • 大人 7〜9時間

お昼に仮眠を取るのであれば、20分前後を目安にしましょう。この理由は、睡眠サイクルにあります。睡眠では、ノンレム睡眠(脳の眠り)とレム睡眠(身体の眠り)を交互に繰り返します。

通常、眠りはノンレム睡眠から始まります。

30分以上眠ってしまうと、ノンレム睡眠の深い段階に入ってしまうため、かえって眠気を強めてしまいます。また、夜間の睡眠にも影響を及ぼす恐れがあります。

次の日の爽快感が違う、睡眠の質

睡眠の質を上げるためには、環境を整えることが大切です。眠るときは、必ず以下のことを守ってください。

  • 電子機器を寝室に持ち込まない
  • 寝具、寝室を清潔に保つ
  • 照明を完全に消す

就寝時間20分前になったら、証明をほんのりとした明かりにしていき、キャンドルを灯しリラックスできる音楽をかけましょう。コーヒーやアルコールなどは避け、カモミールなどのハーブティにハチミツを入れて飲んで内臓を温めてあげます。

寝具や衣類は織り目が細かく自然素材が理想的で、薄着が好ましいです。深呼吸を数回行い、感謝の気持ちで眠りにつきましょう。

毎日の心がけで整える睡眠リズム

生活に合った、一貫した起床時間と睡眠時間を確立することが望ましいです。夜遅くまで出かけていても、週末や休日などでも、起床時間は守りましょう。

そして、日の光を浴びながらストレッチや散歩を30分ほど行い、ゆっくりと目覚めていきます。また、なるべく食事は時間通りに摂り、就寝の2〜3時間前までに夕食を済ませるようにしましょう。

まとめ

寝不足の原因や体に及ぼす影響について理解し、睡眠の重要性もお分かりいただけたと思います。

今後の人生を有意義に過ごすためには、質の良い睡眠を取ることが必要不可欠です。今回ご紹介した改善策を毎日の習慣にし、心のバランスを整え健康トラブルを予防しましょう。

 

参考論文:厚生省 睡眠指針

睡眠の量と質

 

  

 

この記事の監修者

田中康規 麻酔科医/ヘルスコーチ