2022.04.19

食事・栄養

話題の「オメガ3」って何?|アブラの種類や摂る際の注意点も解説

田中康規

麻酔科医/ヘルスコーチ

「オメガ3」という種類のアブラがあることは知っているけど、それがどんなアブラなのか、どんな食品に含まれるのかなど詳しいことはわからないという方もいるでしょう。

オメガ3には高い健康効果があると言われていますが、それは本当なのか、どんな理由があってそう広まったのか気になることろではないでしょうか?

そこで今回は、話題のオメガ3について解説し、それだけでなくアブラ全体のことについてもご説明するので理解を深めてほしいと思います。オメガ3を摂取する際の注意点もお伝えするので、見逃さないでください。

オメガ3脂肪酸とは

「オメガ3」とは一体何だろう?という方のために解説いたします。

脂肪酸って何?

脂肪酸とは、「脂質」を構成する主要要素であり、脂肪酸が他のさまざまな形態の物質と結びつくことで脂質を形成しています。 脂肪酸は体内で以下のような働きをするため、私たちの健康にとって欠かせない存在と言えます。

  • 活動のエネルギー源
  • 細胞膜、ホルモン、核膜などを構成
  • 皮下脂肪として、外部刺激(寒さや物理刺激)から臓器を保護
  • 脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K ) の吸収促進 

脂肪酸の種類

脂肪酸は、構造の違いにより「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2種類に分類できます。飽和脂肪酸は、常温では固形になるアブラで、ギーやバター、ラード、肉の脂身など主に動物性のアブラがこれに該当します。

不飽和脂肪酸は、常温では液体になるアブラです。植物性のアブラや魚のアブラがこれに該当します。

オメガ3脂肪酸

さらに不飽和脂肪酸は、その化学構造によって「一価不飽和脂肪酸」(オメガ9脂肪酸=オレイン酸)と「多価不飽和脂肪酸」(オメガ6脂肪酸=リノール酸、オメガ3脂肪酸=α-リノレン酸)に分かれます。

多価不飽和脂肪酸のオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸だけは人間の体の中でつくることができないので、食べ物から摂らなければなりません。そのため「必須脂肪酸」と呼ばれています。

アブラの中でもとくに大切なのは、体の中でつくることのできない必須脂肪酸、つまり多価不飽和脂肪酸のオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸です。

飽和脂肪酸 ギー、バター、ラード、脂身、ココナッツオイル
不飽和脂肪酸 一価不飽和脂肪酸 オメガ9 オリーブオイル
アボカドオイル
パーム油
多価不飽和脂肪酸 オメガ6 ゴマ油
紅花油
ひまわり油
グレープシードオイル
オメガ3 アマ二油
えごま油
魚の油
ヘンプシードオイル

 

オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の理想の割合

多価不飽和脂肪酸のオメガ6とオメガ3は、別名「酸素マグネット」と呼ばれるほど酸素を強力に引き寄せる力があります。つまり、オメガ6やオメガ3で作られた細胞膜や細胞は、体内でマグネットのように酸素を惹きつけるので、細胞は酸素が豊かになって元気になります。

私たちが、深呼吸をするとリフレッシュできるのと同じです。酸素がたっぷりの環境下では低酸素を好むガン細胞は増えることができません。

オメガ6とオメガ3の理想の割合は、「4:1」と言われています。ですが、現代で普通に食事を摂っているとオメガ6とオメガ3の割合は、「10:1」くらいになっていると推測されています。

オメガ6脂肪酸に偏った食事は、体内でアレルギーを促進したり、血栓を作ったりします。特に言われているのは、オメガ6脂肪酸の摂りすぎで「体内に炎症が起きる」ということです。どんなものも摂り過ぎたり一つに偏ったりすると、体内にとって悪影響をもたらします。オメガ6脂肪酸を控えめに、オメガ3脂肪酸を積極的に摂るようなバランスを心がけることが大事でしょう。 

アブラを摂る際の注意点

健康に良いと言われる植物油脂ですが、基本的に「傷みやすい」ということは覚えておくようにしましょう。質の良い油は、植物の種から油を取る「低温圧搾製法」で精製されています。

一方、市場に安く出回っている質の悪い油は、有機溶剤を使用して油を抽出する「溶剤抽出製法」で精製されていることが多いです。このような製法で作られた油は、すでに傷んでいたり、精製過程でごく少量ではありますがトランス脂肪酸が発生している可能性があります。

また、オメガ3脂肪酸である魚油(DHA / EPA)ですが、サプリメントを割って臭いを嗅ぐと魚の腐敗したときのような悪臭がすることがありますが、これも傷んでいるからと言えるでしょう。

スーパーなどで手に入れやすいアマニ油を取り入れる方も多いと思いますが、できれば封を開けて一週間以内には使い切ることが望ましいです。

オメガ3脂肪酸が健康に良いと言われる理由

なぜ、オメガ3脂肪酸が健康に良いと言われているのかは未だ研究途上です。ですが、「柔軟な細胞を生み出す材料になるからだ」という考えから来ていることは確かでしょう。

不飽和脂肪酸は全般的に分子構造が折れ曲がっています。オメガ3は3カ所、オメガ6は2カ所、オメガ9は1カ所が折れ曲がっています。折れ曲がり部分が多い、オメガ3の分子構造が最も柔軟であり細胞膜をしなやかに保ちます。

そのため、毛細血管の隅々まで血液が行き渡るようになり、これが血液循環を良くすることにつながり動脈硬化などの予防につながると考えられています。

一方、飽和脂肪酸はまっすぐな棒状で隣の分子と接する面積が大きくなります。摩擦が大きくなるため、分子同士が密着し動きにくい状態になり、細胞膜が固くなってしまうのです。

オメガ3脂肪酸を摂らないとどうなる?

オメガ6とオメガ3を含むアブラを、ひたすらたくさん摂れば良いのかと言うと、人間の体はそれほど単純にはできていません。オメガ6とオメガ3は、体内では全く逆の働きをするので、どちらかが一方的に多くなってしまうと体のバランスが崩れてしまいます。

オメガ6脂肪酸に偏った食事は、体内でアレルギーを促進したり血栓を作ったりします。現代の私たちの食生活では、ついオメガ6脂肪酸を摂りすぎてしまうので、オメガ3脂肪酸を積極的に摂るようなバランスを取ることが大事です。

アブラについて理解を深めよう

ここで、アブラについての理解を深めてほしいと思います。

トランス脂肪酸とは?

トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸の一種に分類される非常に毒性の強いアブラです。自然界にもわずかに存在しますが、毒性が強いものはほとんどが加工や加熱など人工的に手を加えたときに生じます。

トランス脂肪酸が生じる主な条件としては、次のような場合があります。

  1. 液体のアブラ(植物油)などに水素を添加して硬化させ固形にする場合
  2. 液体のアブラ(植物油)などを高温で揚げたり炒めたりする場合

1.のケースに該当する例が「マーガリン」と「ショートニング」です。これらはバターや生クリームの代用品として植物油を加工して作られたもので、植物油から作るバターの偽物です。非常に安価に作ることができるため、菓子やケーキパンなどに多用されています。

マーガリンが体に良くないことは日本でも知られるようになってきましたが、それでもまだトランス脂肪酸に注意を払う人は少ないように思います。日本では、食品ラベルにトランス脂肪酸の有無を表示することは義務付けられていません。そのためお菓子やケーキ、パンなどにマーガリンやショートニングが大量に使用されています。知らない間に、たくさんのトランス脂肪酸を摂取している恐れがあるのです。

2.の例に挙げられるのが、高温で調理された揚げ物です。揚げ物を提供しているファーストフードの飲食店の場合、使っている揚げ物用の油のトランス脂肪酸の上限値は25%と言われていますが、おそらくどんなに良いレストランでも10~20%はトランス脂肪酸に変化していると思います。そして、あまり注意を払っていない飲食店ともなれば、25%を超えてトランス脂肪酸が含まれる油を使っているケースも少なくないでしょう 。

「悪いアブラ」を避けよう

とくにアブラを使い回しするファストフードや、市販の惣菜の揚げ物などは控えた方が良いでしょう。また、家庭で炒め物や揚げ物するときは、トランス脂肪酸を生じないアブラを用いるのがベストです。つまり、ギーやバター、ラード、ココナッツオイルなどの飽和脂肪酸です。

トランス脂肪酸に負けず劣らず、悪いアブラの例が「加工されたアブラ」です。例えば、一般に市販されているサラダ油やキャノーラ油などの植物油は、多くが複雑な加工処理を重ねています。毒性の強い化学溶剤をたくさん使って処理をし、最後は漂白までしているものもあります。 できる限り、加熱や加工をせずに自然の状態に近いアブラを選ぶようにしましょう。 

「良いアブラ」を見分ける3つのポイント

良いアブラの選び方として、次の3つのポイントがあります。

第1に、なるべく加工のプロセスが少ないものを選びましょう。比較的、加工工程が少ないココナッツオイルやオリーブオイルが望ましく、果実をそのまま絞り薬品処理や加熱処理をしていないものが良いです。その中でも、品質の良いエキストラバージンオリーブオイルは、良いアブラの選択肢の一つです。

第2のポイントは、遺伝子組み換え作物(GMO)ではないものを選ぶことです。GMOの種や、穀物を使った植物油を使ってはいけません。その代表は、キャノーラ油などの植物油です。必ず、遺伝子組み換えではないと表記してあるものを選びましょう。

第3のポイントは、バターやラードといった動物性のアブラについて、穀物の餌を食べていないグラスフェッドの動物から作られたものを選ぶことです。ただ、日本では市販の製品にほとんど「グラスフェッド」の表示がないため、なるべく「自然放牧」を行っている生産元を探すと良いでしょう 。

オメガ3脂肪酸を含む食材

では、オメガ3脂肪酸を含む食材にはどのようなものがあるかをお伝えいたします。

グラスフェッドビーフ

動物からとれるバターやラード、脂身は飽和脂肪酸なので、トランス脂肪酸に変質する恐れはありません。動物性の脂が心臓病など血管障害の原因になると言われましたが、今では反対に心臓病を防ぐ効果があるという研究結果もあるくらいです。

ただし、それらはあくまでGMOの飼料で育っていない、ヘルシーな家畜からとれた良いアブラに限ります。草を食べて育った(グラスフェッド)動物の乳や脂肪は、人間が消費するのに理想的なオメガ6とオメガ3のバランスになっています。さらに、タンパク質、ミネラル、抗酸化物質が理想的なバランスで含まれており、脂肪に溶けている微量栄養素も存在するなど良いことずくめなのです。

このように、クラスフェッドの牛の脂身や牛乳、そこから作るバターやチーズは非常に良いアブラです。 

野菜や果物

アブラは、野菜や果物にも含まれています。ここでは、分かりやすく一覧でまとめてご紹介いたします。(※数値はいずれも可食部100g中)

脂肪酸を豊富に含む野菜 多価不飽和脂肪酸 一価不飽和脂肪酸 飽和脂肪酸(g)
オメガ6 & オメガ3(g) オメガ9(g)
枝豆 2.82 1.91 0.86
とうもろこし(ゆで) 0.54 0.49 0.26
にんにく(生) 0.41 0.04 0.18
ほうれん草(ゆで) 0.21 0.02 0.05
干ししいたけ(ゆで) 0.18 0.01 0.05
春菊(ゆで) 0.17 0.01 0.04
エリンギ(生) 0.17 0.05 0.05
まいたけ(ゆで) 0.15 0.14 0.08

 

脂肪酸を豊富に含む果物 多価不飽和脂肪酸 一価不飽和脂肪酸 飽和脂肪酸(g)
オメガ6 & オメガ3(g) オメガ9(g)
アボカド 2.16 10.82 3.21
0.25 0.05 0.09
干し柿 0.22 0.36 0.15
きんかん 0.18 0.06 0.09
レモン 0.11 0.02 0.05
キウイフルーツ 0.06 0.02 0.01
いちご 0.05 0.01 0.01
0.03 0.04 0.02

 
出典:食品成分データベース(改変)

まとめ

オメガ3脂肪酸というアブラについて、その健康効果が広まっている理由や、人間の体における重要性が理解できたかと思います。

どんなアブラが食品に含まれているかも把握できたら、スーパーなどで意識して選び、食卓にプラスしてみてください。

自分や家族の体調に合わせて、良いアブラや食品を選ぶ習慣を身につけていきましょう。

 

参考:『超一流の食事術』

農林水産省

NHK

この記事の監修者

田中康規 麻酔科医/ヘルスコーチ