2022.06.10

食事・栄養

初心者もできるファスティング|実践的なスケジュールや注意点を解説

田中 康規

麻酔科医/ヘルスコーチ

ファスティング」が、健康や美容に効果的なのは知っているけど、具体的な方法や何に気を付けるべきなのかまでは理解していない方が多いでしょう。

ファスティングについて詳しく知らないままチャレンジしてしまうと、体調を崩してしまったり、逆にリバウンドして体重が増えてしまうことになりかねません。

そんな事態を避けるためにも、まずはファスティングの基礎知識を学びましょう。初心者でもわかるように、言葉の意味から実践的なスケジュールもご紹介いたしますので、ぜひ最後までご覧ください。

ファスティングの基礎知識

まずは、ファスティングについて基本的なことを学びましょう。

ファスティングってどういう意味?

ファスティングは、「断食」を英語に訳したものです。この2つは言い方が違うだけで、それぞれの方法や内容に違いはありません。

断食は、水や食事を一切取らずに長時間の断食を伴う厳しい方法で、ファスティングはスムージーなどの飲み物や一部の食事が可能な、断食よりも手軽にできるものだと思われることもありますが、基本的には断食もファスティングも意味は同じです。

どんな方法や効果があるの?

ファスティングは、近年では健康促進、ダイエット、エイジングケア、美容などの目的で行われることが多くなりました。ファスティングには色々な方法があり、24時間のうち16時間は何も食べない日を数日設けるという方法から、数日の間、固形の食べ物を全く食べないものまで様々なやり方があります。

健康や美容意識の高い方達が、なぜファスティングを行うのかというと、食事を消化し吸収するためのエネルギーを、体の機能のリセットや回復に使うためです。主に消化と吸収に使われていたエネルギーを、体内の回復に使うことによってもたらされるメリットは計り知れません。日常の慢性的な不調の改善はもちろん、大きな健康トラブルを未然に防ぐことも期待できます。

ファスティングにより改善が見込める病気には、糖尿病、ガン、アルツハイマー、アレルギーなどがあります。

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ファスティングが脳と体にもたらす4つのメリット

ファスティングが、健康や美容に効果的と言われる理由を解説いたします。

血糖値が適正になる 

例えば、糖質が体に入ってくると「インスリン」というトラックが出動して糖質(厳密には糖質は分解されたグルコース)を細胞に運びます。しかし、糖質燃焼型(シュガーバーニング)の体になっていると体が糖質を欲するので、常に糖質を取り続けインスリンのトラックが出動し続ける状態になります。

すると、体内の細胞は糖質過多の状態になり、トラックから糖質を受け取ることを拒否するようになるのです。これを、「インスリンに対する感受性が鈍くなる」と言います。インスリンの感受性の低下は糖尿病を引き起こします。さらには、過剰な糖質が体内のタンパク質と反応して終末糖化産物(AGEs)が生成されます。AGEsが生活習慣病をはじめとするさまざまな疾患の原因となってしまうのです。

しかし、ファスティングをすると、基本的に糖質は体内に入らないため、やがてインスリンのトラックはいなくなります。こうしてトラックの数が減ると、細胞はまた元気を取り戻して働けるようになります。

そして、糖質(グルコース)が来るのを今か今かと待ち受けるようになります。これが「インスリンに対する感受性が鋭くなる」ということです。すると、血糖値も適正になり、糖質が多過ぎることによって引き起こされるさまざまな弊害がなくなるのです。 

腸内環境が整う

内臓を休ませてあげることで、普段はエネルギーが行き渡らない臓器にもエネルギーが行き渡り、きちんと稼働できることで体内の老廃物や毒素を排出できます。体内に溜まっている老廃物や毒素を排出することで、疲れにくく痩せやすい身体へ変化することが期待できます。

腸内環境がリセットされ、腸が本来の力を取り戻すことで、腸内のホルモンを分泌する機能も正常になると言われています。腸は「内なる外」とも呼ばれるため、腸の調子が整うことでお肌の調子も整い、肌荒れの改善につながります。 

また、腸内では「セロトニン」というホルモンが分泌されています。ファスティングによって腸内環境が整うと、このセロトニンの分泌にも良い影響を与えます。セロトニンは、脳内で働く神経伝達物質のひとつで、精神を落ち着かせる効果を持っています。

別名「幸せホルモン」とも呼ばれており、セロトニン不足はメンタルヘルスの不調の原因にもなると言われているほどです。反対に、セロトニンが充実していると、精神は安定し、ストレスが軽減されることが期待できます。思考がポジティブになり、ストレス耐性も高まるでしょう。

基礎代謝が上がり免疫力もアップする

ファスティングをすることにより内臓が休まると、白血球の働きが活発になります。すると、免疫力が向上し細菌やウイルスなどに強くなり、体内のガン細胞の増殖を抑えるなどの効果が見込めます。また、消化器官もファスティングによって一度リセットされるため、アレルギー症状が緩和されることも期待できるのです。 

腸内環境が整い、老廃物や毒素を排出する働きが強まると、消化と吸収に使われていたエネルギーが身体の修復や疲労回復などに使われます。すると身体の基礎代謝が上がり、免疫力がアップするのはもちろん、普段の日常生活を送るだけでも痩せやすい身体になっていくでしょう。

心も健康になり、五感が研ぎ澄まされる

ファスティングにより、胃腸の消化吸収に使われていたエネルギーが減り、脳に十分な血液を回せるようになります。そのため、ボーッとしたり眠くなったりしにくくなり、集中力が上がる効果が期待できます。

また、セロトニンの働きにはポジティブな考え方になるだけでなく、直感力を高める効果もあると言われています。頭が冴え、新しいアイデアが浮かぶなど、これまで気づかなかったことに気づくこともあります。五感が研ぎ澄まされることにより、味覚も敏感になり、これまで食べていた加工食品や人工甘味料などに抵抗感を覚えるようになる方もいるくらいです。 

 

ファスティングのスケジュールをご紹介

ここでは、初心者から経験者まで取り組みやすい「12〜16時間のファスティング」をご紹介いたします。さらに、べーシックパターンとアドバンスパターンの2つのやり方について解説いたします。

やりやすいのは「12〜16時間のファスティング」

12〜16時間のファスティングは、1日を2つの時間枠に分ける方法です。食事の時間枠と、ファスティングの時間枠に分け、食事の時間枠以外では基本的には水分しか摂らないようにします。ファスティング初心者の方や、月経中の女性に最も向いている方法になります。 

このファスティングでは、8時間以内に1日の食事を全て終えて後の16時間は何も食べないという短時間のファスティングを断続的に行うものなので飢餓状態にはなりません。また、1日に必要なエネルギーは摂り続けるので、ファスティングによって筋力が衰えてしまう心配もありません。

しかも、シュガーバーニングからファットバーニングへの移行を加速させるだけでなく、糖尿病や糖尿病予備軍の方々の症状を改善したり、体内の炎症を鎮める効果が期待できたり、脳のパフォーマンスが上がったりするなど、多くのメリットがあります。

べーシックパターン

8時間以内に1日のすべての食事を済ませます。基本的には何を食べてもかまいませんが、ファスティングはファットバーニングに移行しやすいという利点があるので、糖質を控えた脂質が豊富な食事を摂るのがベストです。

残りの16時間は水分やお茶のみで過ごします。これを毎日の習慣にしても良いですし、1ヶ月間続けようと決めて行っても良いでしょう。

アドバンスパターン

アドバンスパターンは、早くファットバーニング(脂質燃焼型)に移行したい方や、すぐに結果を出したい方に向いています。

ベーシックパターンと同じことを、1週間のうち5日間行います。そして、残りの2日間は、クレンジング(浄化)を行います。この2日間は連続しないように設定してください。具体的には、男性なら1日600kcal、女性なら1日500kcalを超えないよう低カロリーで過ごして、体のデトックス効果を高めます。これを、3週間ほど行ってみましょう。

ベーシックパターンから始め、慣れてきたらアドバンスパターンに挑戦するのがおすすめです。もちろん、ファスティングの期間中に摂る食事は、なるべく糖質を避け、良い油を多めに摂るように心がけます。

アドバンスパターンのスケジュール

アドバンスパターンのスケジュールの組み方は、例えば、月・火・水・金・日は12〜16時間ファスティング、木・土はクレンジングというような具合です。クレンジングを行う曜日は、2日間連続しなければ、週毎に変えてもかまいません。 

低カロリーで1日を過ごすクレンジングの効果

アドバンスパターンで設定される低カロリーの2日間の目的は、「脂肪を急速に燃やすこと」と「体を休めること」です。現代の食生活では、ただでさえ食べ過ぎになる傾向が強いので、1日に摂るカロリーが低い日を挟んで体を休めてあげるのです。

この2日間で、体がシュガーバーニング(糖質燃焼型)からファットバーニング(脂質燃焼型)にシステムチェンジするので炎症が治まり、老化も防ぐことができます。

クレンジングの食事配分

野菜中心のスムージーを1日2回、あるいはごく少量の食事(糖質はなし、脂質50%、野菜30%、タンパク質20%の組み合わせ)を1日に摂ります。最も、今より体重を減らさなくていいという方は、低カロリーの日が週1日でもかまいません。低カロリーの日を設けるのは、あくまで体を休めることと、ファットバーニングを加速させるためであって、ダイエットがゴールではないからです。

反対に、どうしても体重を減らしたいという方は、低カロリーの日を週3回に増やしてもよいでしょう。自分の体の状態と相談しながら、無理のない範囲で取り組んでください。

クレンジングの日に何を食べたら良いかわからないという方へ。有機野菜と平飼い養鶏で育ったの鶏ガラで作った「HEA 特製 ボーンブロススープ」と7種類の有機茶葉をブレンドした「HEA オリジナルブレンドティー」 は、ファスティング中の栄養や心のバランスが乱れるのをサポートします。ぜひ、チェックしてみてください。

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ファスティングを行ううえでの注意点

ファスティングを行ううえで、必ず抑えておくべき注意点を解説いたします。

ファスティングに向かない人がいる?

次にご説明するような方はファスティングに向かないため、チャレンジするのはやめておきましょう。どのような方が向かないかと言うと、妊娠中や授乳中の方、新生児や乳幼児、成長期の子供、1型糖尿病の方、摂食障害のある方、重度の低体重の方、過激な種目の運動選手、持病があり複数の処方薬を服用している方などです。 

また、女性が月経中に行う場合は、常に以下のような症状に留意することを忘れないようにしましょう。 

  • エネルギーが低下している感覚はないか
  • 頭がボーッとしていないか
  • 気分のムラはないか
  • 不眠になっていないか
  • 寒気はしないか
  • 脱毛の症状などは出ていないか
  • 心臓不整脈になっていないか
  • 生理不順はないか

もし体の変化を感じたら、すぐにファスティングを中止して、ご自身の体調を優先してください。

1日当たり、2〜2.5ℓの水を飲もう

ファスティング中、飲み物は8時間の枠に関係なく、どんどん飲んでかまいません。ファスティング中は脱水になりがちなので、特に水分は意識して飲むようにしてください。目安として、1日にマグカップ8〜10杯が適量です。ℓ(リットル)で換算すると、1日2〜2.5ℓぐらいになります。水以外に、紅茶や緑茶でもかまいませんが、コーヒーは水の量には含めません。

何故かと言うと、コーヒーは利尿作用が強く、1杯飲むと1杯分の水分が尿になって出ていってしまうからです。つまり、成分としてはプラスマイナスゼロになります。また、水の代わりに野菜ジュースやコーラなどの清涼飲料水を飲むのも望ましくありません。食品表示のラベルをよく見てみると、野菜ジュースにも必ず「糖質何g」と書かれています。野菜ジュースや清涼飲料水を飲むのは、砂糖水を飲むのと同じだと思ったほうがよいでしょう。

1日の始まりの飲み物としておすすめなのが、ミネラルウォーターにレモンやライムの搾り汁(1個分)を加えたものです。レモンやライムは、体を「アルカリ性」にしてくれます。これらの果実にも、わずかながら糖質(果糖)が含まれています。しかし、米やパン、じゃがいもなどのデンプン質の炭水化物を摂らなければ、果物や野菜に含まれる程度の糖質は気にしなくてかまいません。

お酒は飲んでもいいの?

お酒に関しては、ほとんどに糖質が含まれているため、避けるに越したことはありません。ただ、お酒好きの方や付き合いの多い方は、全く飲まないようにするのも難しいでしょう。もし、どうしてもお酒を飲むのであれば、糖質を含んでいない蒸留酒(ウォッカやテキーラ)がベストです。

ファスティング中の油は、1種類に偏らないようにする

ファスティング中の油は、1種類に偏らないように注意してください。まずは、人間が体の中で作れない必須脂肪酸のオメガ3とオメガ6の中から、4種類ほど選んでローテーションで摂るのが良いでしょう。アマニ油やえごま油、ヘンプシードオイルの他、チアシードやクルミなどのナッツ類を食べてもよいと思います。

さらに、必須脂肪酸ではありませんが、ギーやバター、ココナッツオイル、MCTオイル、オリーブオイルなど、飽和脂肪酸やオメガ9を補います。また、果物や野菜、肉や魚にも油が含まれていますので、まんべんなくバラエティに富む食品を摂るようにするとよいでしょう。果物では、ベリー系の他、良質のオメガ9が豊富に含まれているアボカドなどがおすすめです。 

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まとめ

ファスティングというダイエット方法の内容を理解し、自分の体調やライフスタイルを加味したうえで、できるか否かの判断ができるようになっているかと思います。

健康や美容効果をいち早く得たいからと無理して行うと、体調不良や体重の極端な増減などリスクを伴う結果になりかねません。常に自分の体を観察しながら、気分の変化などにも気を配ることを忘れず実践すべきです。

ファスティングによって健康的な脳と体を手に入れたい方は、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

 

この記事の監修者

田中 康規 麻酔科医/ヘルスコーチ