2022.06.30

腸活

プロバイオティクスを含む食べ物とは?|効果的な摂り方も伝授!

吉松 邦夫

研究者/講師

プロバイオティクス」という腸に良い成分があることはご存知の方が多いと思います。お腹の調子が良くない、整えたいという方は、とくにプロバイオティクスが気になるのではないでしょうか?

世の中には、ヨーグルト、カルピス、ヤクルトなどの乳酸菌飲料などが多く出回っており、これらを飲食すれば腸の調子が整うと思っている方が大半だと思いますが、ここに大きな落とし穴があります。

まずは、腸内環境をキレイにする前に、知っておくべきことがあります。これを理解しないでプロバイオティクスを摂取しても全く意味がありません。

そこで今回は、腸内におけるプロバイオティクスの役割から、日本人が摂るべきプロバイオティクス食品について本当のことをお話いたします。

お腹の調子が悪い方だけでなく、より健康に、より美しい肌を手に入れたい方も、ぜひチェックしてください。

プロバイオティクスの基本を解説!

「プロバイオティクス」の基礎知識から、その効果や役割を解説していきたいと思います。

「プロバイオティクス」とは何か?

腸内環境のバランスを改善すること により、人に有益な作用をもたらす生きた微生物(英国の微生物学者による1989年の定義)のことです。

プロバイオティクスが主に生息しているのは「大腸」で、人間の腸内環境に良い影響をもたらす「善玉菌」の働きに欠かせない存在になります。

プロバイオティクスが生息する「大腸」はどんな場所?

大腸は、小腸で消化できなかったものを体外へ排泄する役割を担っています。これらの小腸からの消化酵素の混ざった未消化物の液体から、少しずつ水分を吸収していき最後は形のある便を形作ります。

しかし、毒物や細菌が混ざっていると異変を感じ、水分を吸収せずにそのままの状態で下痢として排泄します。

1.5 mほどある大腸には「コロニー」と言って様々な菌の集落のようなものがあり、そこには同じ種類の菌が生息していて他の菌を受け入れません。

驚き!大腸の菌の意外な働き

して、個人差がありますが大腸には約400種類(人によっては1,000種類)ほどの菌が生息しています。しかし、ほとんどは少数派であってメインとしてコロニーを形成している菌の種類は5種類から8種類ほどです。それらは大きく分けて、「悪玉菌」「善玉菌」「日和見菌」に分けられます。

この中でも、60〜75%が日和見菌で占められており、彼らは日頃人間にとって益にも害にもなっていません。ところが、肉や魚などを食べ続けると便の状態が酸性に傾いていき、悪玉菌が増えていきます。そうすると彼らは豹変して、大多数で悪玉菌のように毒を出して害を及ぼすのです。また、彼らの中には善玉菌を食べる菌もいます。

便が酸性に傾くと悪玉菌が増えるだけでなく、善玉菌が減ってしまいます。便も停滞し、1日で排せつ物が出るはずのものが、長時間停滞します。そして、悪玉菌、悪くなった日和見菌の数が増えていきます。

便秘の方はこういう状態なので一刻も早く解消すべきであり、日頃から便秘にならない習慣や食生活を心がけることが重要と言えます。

大腸にポリープができる意外な理由

日本人の食事摂取基準」というものがあり、これによると、体重1kgあたり0.9gのタンパク質を摂取すれば、1日に必要なタンパク質量を満たせるとあります。ですが、このタンパク質の量は私達人間にとって、本当に必要なのかどうか疑問があるところです。

小腸で消化できなかったものを排泄するために大腸に流れていきますが、同時に細胞分裂が最も盛んな小腸の壁が崩壊して流れてきます。その崩れたものを善玉菌が食べて、「アミノ酸」を作り出しているので、人が生きていくのに必要とされるタンパク質の量は、実際は3割程度で十分なのです。

70kgの体重の方だとしたら、食品から摂取するタンパク質量は、20〜21g程で足りるということです。これ以上タンパク質を摂り過ぎると、それが逆に悪玉菌のエサになり、彼らの吐き出すインドール、スカトールなどの毒素で大腸にポリープができたり肝臓ガンになります。

この事実は、普通の人はほとんど認識していないため、食べ物には気を付けるべきと言えるでしょう。

 

プロバイオティクスを摂ればいいという訳ではない!?

プロバイオティクスを摂れば、腸内が整うということではありません。その前に、知っておくべきことをお伝えいたします。

乱れた腸にプロバイオティクスは効果なし?

プロバイオティクスなどの一般的に体に良いとされている細菌も、生活習慣が乱れていて悪玉菌がたくさんある状態では、必ずしも芳しい効果が期待できません。

これらは効果に個人差があります。その理由は、自分の現在の大腸に居る菌に対して、プロバイオティクスが敵か味方か、善玉菌や悪玉菌がどれだけ増えるか、もしくは変わらないか、さらに先住の菌が死滅するかどうかで体調が違ってくるからです。

生活習慣が乱れている方は、まず改善することから始める必要があります。なぜなら、飲酒食べ過ぎ睡眠不足運動不足ストレスなど、さまざまな要因が腸内環境の乱れとつながっているからです。

心当たりがあり便秘などの腸の調子が悪いという方は、ぜひご自身の生活を振り返ってみることから始めてみましょう。

3分でわかる「腸内細菌」とは?| 腸内環境改善の5つのアクション

 

まずは「食べないもの」を決める

米を食べなくなった現代の日本人は、パン食になりおかず中心のタンパク質の摂り過ぎです。いくら食べても肉や魚、乳製品には「食物繊維」が全くなく、悪玉菌の餌にはなりますが、善玉菌のエサにはなりません。また、乳製品は悪玉菌や日和見菌のエサとなるだけでなく、成分だけでも子宮がん、乳がん、前立腺がんなどの原因となっています

肉や魚、乳製品を減らすと、その分お腹がすくので、ご飯や野菜中心のおかずを食べるようにしましょう。悪玉菌にエサを与えないことが重要です。

 

プロバイオティクスが豊富な食品は?

プロバイオティクス食品と聞くと、ヨーグルトやカルピス、ヤクルトを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、そういった牛乳を原料とした商品ばかりではなく、昔からある日本の伝統食も、正々堂々とプロバイオティクス食品と言えるのです。

食物繊維が豊富な「納豆」

納豆に含まれる納豆菌は、腸内の善玉菌を活性化させ、悪玉菌の増殖を抑えることが知られています。納豆菌は乾燥や熱にも強く、強酸性の胃液によっても死滅しないことがわかっています。

また、納豆の原料である大豆には、善玉菌のエサになる食物繊維が豊富に含まれるという特徴もあり便秘改善などの効果も期待できます。

ですが、いくら体に良いからといって納豆を食べ過ぎることは避けましょう。腸内の納豆菌が増え過ぎて、腹痛や吐き気を招くこともあります。納豆を毎日食べていて具合が悪いと感じた際には、いったん納豆を食べる頻度を控えて、体の調子を観察してください。

野菜の酵素が生きている「漬物」

野菜やきのこなどを乳酸菌発酵させる「ぬか漬」や「粕漬」は、保存性が高く、素材の酵素がそのまま生きている優れた食品です。そのため、毎日食べることで腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えてくれます。そして、漬物の中の一部の菌も、わずかながらそのまま胃を通過して腸まで届いています。

野菜に含まれる栄養素である、ビタミンB群やビタミンCは、炒めたり茹でたりすることで失われやすいものです。しかし、漬物にすることで野菜の栄養素を失うことなく、そのままだと食べにくい大根や人参なども、しんなりして食べやすくなるなどのメリットが豊富です。

また、発酵はしていなくとも「梅干し」や「らっきょう」なども、世界に誇る優れた食品です。(※発酵しているものもあります。)

梅干し・らっきょうは腸をキレイにする!

梅干しの酸味成分である「クエン酸」は、悪玉菌の増殖を抑える作用や、腸を刺激し便を排出させる「ぜん動運動」を促す働きがあります。

抗菌・滅菌作用を持つ「カテキン酸」も、悪玉菌の増殖を抑える働きがあり、これにより腸内環境が整えられるため腸を活発に働かせる効果が期待できます。 

らっきょうは、「水溶性食物繊維」が豊富な漬物です。水溶性食物繊維は腸内で善玉菌のエサとなるため、腸内環境を整えるには最適な食品と言えるでしょう。

また、血糖値の上昇を緩やかにする、脂質の吸収を抑える、便の水分量やかさを増やし、便通を良くする、などの働きを持つため、ダイエットや便秘に悩む方に大事な成分です。

注目したいのは、「酸化アリル」というニンニクや玉ねぎにも含まれており、らっきょうの香りの元となっている成分です。この硫化アリルは、殺菌作用や抗菌作用があるため、腸の炎症を改善することも期待できるでしょう。

パプアニューギニアの人々が、低タンパクなのに筋骨隆々な理由

パプアニューギニアの2,000〜3,000m級の山々が連なる高地に住む人たちの便を調べると、栄養学からみると非常に低タンパクであることがわかりました。食事は、大人ではイモ類を1日平均1.2kgも食べています。日本人がこれだけ食べると、腸内にガスがたまって大変ですが、彼らは何ともないと言います。

こうした炭水化物の多い食事だと、普通はタンパク質が足りなくなり(窒素のバランスが崩れて)健康を損なうと言われていますが、彼らは筋骨隆々で高地を闊歩しています。彼らの腸内を調べてみたところ、確かに草食動物である豚や牛の腸内にいるのと同じ腸内細菌が数多く住んでいました。

これらの菌は、アンモニアの中の窒素をアミノ酸として取り込む機能を持っています。アンモニアは本来、体の中で死んだ自分の細胞や、食べ物などから出たタンパク質が分解されてできたものです。

毒性が強いので、肝臓ですぐに尿素に分解され、腎臓で運ばれて尿となって排出されるものです。豚の腸内にも、彼らのものと同じアンモニアを効率的に利用する細菌が多くいて、低タンパクの状態で尿素を投与しますと、尿素を分解してできるアンモニアを利用してアミノ酸を合成しています。

こうしたことから、アンモニアを利用できる細菌がいれば、低タンパクでもしっかり生きられる可能性が高いことが分かってきました。

つまり、肉を食べなくても、多くのタンパク質を摂らなくても、十分に筋骨隆々でたくましくなれることが証明されたということです。

 

プロバイオティクスの注意点

人の腸内環境は人それぞれで、本当に千差万別です。誰かにとっては腸内環境を整えてくれる良い食品も、ある人にとっては悪い影響を与える食品だということもあります。

ここで重要となってくるのは、全ての人にとって万能な食品はなく、効果や効能はあくまで個人個人によって変わってくるということを理解することです。

また、取り入れる菌も同じで、ある人にとってこの菌を取り入れると健康になったけども、別の人には全く何も変わらなかったという例がたくさんあります。

高齢者や慢性胃炎の人、SIBOの人は要注意

プロバイオティクスの摂取を控えたほうが良い人として挙げられるのが、胃酸の分泌が少なくなっている高齢者や、ピロリ菌などに感染し慢性胃炎になっている人です。

プロバイオティクスは胃酸の影響で、ほとんどが腸に辿り着く時には死んでしまっているという話はしましたが、このような人達は、正常に胃酸が分泌される人達に比べて、分泌が少量なため、体に影響が出やすくなってしまっています。

胃酸の殺菌能力が低いため、不用意に菌を体に大量に入れてしまうと、不調の原因の一つになってしまいかねないため、少しずつ様子を見て試していくことが重要になってきます。

このような方たちは、プロバイオティクスが含まれる発酵食品やサプリを不要に摂らないよう注意をしてください。

また、「SIBO」と呼ばれる病態の人達は、小腸の中で異常に細菌が繁殖してしまうため、わずかな細菌の流入でも具合が悪くなってしまうため、特に要注意です。

一つではなく色々な種類の食品を摂る

また、自分が好きな食品ばかりを食べ続けることも避けて欲しいことの一つです。

なぜなら、良い腸内環境を作るために重要なことの一つに「腸内細菌の多様性」が挙げられるからです。自分にとって体に良い食品であっても、その食品ばかり摂っていては、腸内の多様性が損なわれ、良くない状態になってしまいます。

色々なものを食べて腸内環境に多様性をもたせよう

例えば、一つの発酵食品を摂り続けることは良くないため、色々な種類の発酵食品を食べて多様性をもたせることが重要になってきます。また、一つの発酵食品においても、ずっと同じ種類を食べるのではなく、種類を変えて、色々な物を食べることをおすすめします。

納豆を食べるにしても、一つの会社の納豆を食べるのではなく、色々な種類の会社の納豆を食べ、多様性をもたせることが重要となってきます。

人により良い菌、腸内細菌の組成は違う

人により腸内細菌、腸内環境は異なっているということはお伝えしていますが、どのような要因から腸内細菌は変わってくるのかをここでは解説していこうと思います。

一つの要因として、食事内容の違いが挙げられます。特に食物繊維をどれくらい摂っているかが重要で、食物繊維をたくさん摂っている地域の人々と、乳製品をたくさん摂っている地域の人々とでは、腸内細菌の組成が変わってきます。

野菜中心のベジタリアンの人は、腸内細菌叢が違うだけなく、胆汁の濃さも違い、免疫力が肉食の人より強いというデータがあります。

また、海藻を食することによっても独特の腸内細菌叢を作り上げます。ワカメなどを大量に食べる日本人の腸内細菌叢が欧米人と違うだけでなく、それらを消化する消化酵素も日本人だけが持っているものもあることが判っています。

ヨーグルトは食べるべきなの?

牛乳で作られたヨーグルトはアレルギーの元となりやすいので、できれば豆乳で作られたヨーグルトを食べるようにしましょう。他には、プロバイオティクスの菌だけを入れたカプセルなどがおすすめです。

まとめ

プロバイオティクスが、腸内環境を整えるうえで重要な働きをすることが理解できたかと思います。

腸内細菌には、発がん物質や発がん促進物質を作る悪玉菌がいますが、発酵食品や食物繊維を併せて摂ることで、善玉菌をできるだけ増やすことができます。それが、健康で病気にならない身体をつくり長生きできるコツと言えます。

自分の腸内環境に合ったプロバイオティクスを摂取し、腸内環境を整え生き生きとした生活を送ってください。

 

 

この記事の監修者

吉松 邦夫 研究者/講師