2023.01.07

運動

運動により得られる心身へのメリット|健康を左右する運動習慣

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田中 康規

麻酔科医/ヘルスコーチ

運動は健康に良い」ということをよく聞きますね。あなたは、日頃運動を意識して行っていますか?

運動を続けている方は、おそらく何らかのメリットを感じていることでしょう。まだ運動習慣がない方は、運動することにより、どれだけのメリットを自身にもたらしてくれるのか気になるところだと思います。

この記事では、人の幸せな一生に欠かせない「運動」により得られる、心と体へのメリットについて詳しくお伝えします。

運動が人を健康にする理由

まずはじめに、「運動が健康に良い」とされている理由を詳しくお伝えします。

運動により余分な脂肪、糖がみるみる燃えて健康に!

私たちは、食べた物から体を動かすエネルギーを生み出しています。このエネルギーは、食べ物から摂取したエネルギーと、運動で消費したエネルギーのバランスがとれていることが健康に良い状態です。

しかし、食べる量に対して運動量が少なかったり、エネルギーが作られにくくなってしまうと、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回り、消費されなかったエネルギーは脂肪となってしまいます。

この状態が続いていくと、余分な脂肪が体に蓄積して肥満に繋がり、更には生活習慣病の原因にもなり得ます。

ですので、運動により余分な脂肪や糖を燃やしてエネルギーを消費することで、肥満による病気を予防し、健康維持に繋がるのです。

便秘や疲労、だるさなどの症状がスッキリ解消!

運動は、疲労感とストレスを軽減し、活力を向上させることができると言われています。

これは、軽い運動が疲労物質を取り除き、また「気持ち良い」と感じられる運動をすることで、自律神経機能が整えられるためです。

また、脳がストレスを感じると腸の働きは低下しますが、運動によりストレスが軽減することで腸の働きが良くなり、便秘の解消にもつながります。

 

運動により得られる体へのメリット

運動は、筋肉を鍛えて体を丈夫にするだけでなく、身体の調子を整えるメリットもあります。

生活習慣病や慢性病を予防できる

運動をすることは、心筋梗塞、脂質異常症、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームといった生活習慣病の予防や改善に繫がると言われています。

有酸素運動を行うと、血液中の中性脂肪がエネルギーとして消費されるため、悪玉コレステロールを分解し減少させ、善玉コレステロールの増加につながります。

このことにより、血中脂質の量が適正になり、虚血性心疾患や脳梗塞、乳がんや大腸がんなどのリスクが低下し、生活習慣病や慢性病の予防に繋がります。

骨粗鬆症や認知症が予防できて健康寿命が伸びる

運動をすることは、骨の丈夫さと脳の働きにも関わりがあります。

骨をつくる細胞の働きは、運動をしたときに力が加えられることによって活発になるため、骨を丈夫にして骨粗鬆症のリスクを減らすことができます。

また、運動は脳血流をよくし、情報処理と情報伝達を担う「ニューロン」が増加するため、認知症にかかるリスクが低下します。筋肉を動かす司令塔は脳であり、体を動かすときには脳に刺激が与えられることも、認知症予防に効果が期待される理由です。

さらに、ランニングやサイクリングなどの有酸素運動においては、脳の海馬が大きくなるとも言われ、記憶や学習能力の向上も期待されます。

筋肉がつき、基礎代謝がつく

筋肉は、負荷の高い運動によって刺激されることで太くなり、強化されます。筋肉に繰り返し負荷をかけることにより筋肉量が増えると、基礎代謝量が上がり筋力や持久力を高められます。

筋肉量は成長期に増えますが、その後は運動習慣がないと加齢とともに減少していきます。

しかし、骨とは違い、加齢や疾患によって低下する筋力と筋肉量は、筋力トレーニングをすることで維持増大させることができます。

免疫力がつき、風邪などひきにくくなる

適度な運動は、免疫機能を高め、病気に対する抵抗力を向上させることができます。また、運動を楽しみながら行うことで、その効果はさらに高まります。

免疫力は、30代になると低下をしはじめ、その後加齢に伴い徐々に低下していきますが、その低下を抑制して免疫機能を維持することができます。

また、免疫機能を維持することで、病原体に対して白血球や循環機能、細胞を素早く対応させることができるので、ウイルスや細菌による病気に対する抵抗力が高まって病気の発症率を下げることにも繫がります。

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運動により得られる心へのメリット

運動は、体だけでなく心のメリットもあり、充実した日常生活を過ごすためにも良い理由があります。

心がワクワクする!幸せホルモンが分泌される

運動をすると、幸せホルモンと言われている「セロトニン」や「ドーパミン」などが分泌されます。

さらに、運動を継続することでドーパミンの分泌が盛んになって日常的にワクワク感が増加したり、セロトニンの分泌によって心身の安定にも繋がります。

また、体を動かすと交感神経が活発になることでプラス思考になりやすく、気持ちが前向きになり、鎮痛効果気分の高揚感などが得られる「β-エンドルフィン」の作用によって幸福感が高まります。

不安や恐れが軽くなる!抑うつ効果

適度な運動やスポーツは、楽しみながら全身を使って運動ができるので、ストレスが発散され、運動後には爽快感や達成感を得られます。

運動により分泌されるセロトニンなどのホルモンや、神経伝達物質の作用により、ストレスや不安を引き起こすホルモンを抑制することができ、うつの予防に繋がります。

また、運動により体温が上昇することや、ストレッチにより血行が良くなることで、リラクゼーション効果があり、睡眠の質を高められます。

気持ちが穏やかに!ストレス軽減効果

運動をすると、手足や体を動かすことに意識が集中してストレスから解放されやすくなります。

適度な運動により、脳の血流がよくなることで脳が活性化し、心に安らぎをもたらすセロトニンなどの神経伝達物質が脳内に増えることでストレスを軽減させ、気持ちを落ち着かせたり幸福感を高めたりするのです。

意欲がグンとアップ!仕事などの効率化

運動をすることで、忍耐力や集中力などが増し、タイムマネジメント能力や仕事の効率が上がると言われています。

また、脳に酸素が行き渡ることで脳の働きが活性化し、仕事などで良いアイディアが浮かぶといったメリットも期待できます。

これは、脳内で気持ちが高まるエンドルフィンやドーパミンが分泌されることで、意欲や自信が高まり、その後のパフォーマンスアップに繫がるためです。

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まとめ

運動は、ダイエットや筋肉強化をしたい人にとってメリットがあることはもちろんのこと、全ての人にとって筋力維持などの効果が期待でき、歳を重ねても丈夫な身体で日常生活を送り続けることができます。

また、適度な運動は免疫力を高め、疲労やストレス解消に効果的なため、病気の予防日々のパフォーマンスアップにも繋がります。

このように、運動は心身の健康と深く関わっていますので、あなたの生まれ持った可能性を100%発揮できる日々を送るためにも、運動を意識して行い、習慣にしていきましょう。

この記事の監修者

田中 康規 麻酔科医/ヘルスコーチ

 
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