2023.01.10

食事・栄養

ターメリックの効能を徹底調査!|食べるときの注意点やレシピも解説

            モアシー
            EARNS
           

田中 康規

麻酔科医/ヘルスコーチ

あなたは「ターメリック」をご存知ですか?カレーに使われるスパイスとして有名なので、聞いたことがある方も多いでしょう。

個性的な色や風味が特徴のターメリックですが、健康面でもさまざまなメリットがあります。日常生活に上手く取り入れることによって、病気の予防、美容効果、料理の幅を広げることが期待できるでしょう。

この記事では、そんなターメリックの特徴や活用法、使うときの注意点などを解説していきます。

ターメリックの基礎知識

まずはターメリックの特徴について解説します。

ターメリックとは?

ターメリックとは、香辛料の一種で、ウコンの地下茎を乾燥させたものです。黄色の香辛料で、アジアの国ではカレーに、日本ではたくあんの色付けなどに利用されています。最近ではカレーの他にも、スープやラテなどいろいろな使い道が注目されています。たとえば、アメリカの一部の都市では、ラテにターメリックを加えたドリンクが「ゴールデンミルク」という名称で販売されています。

また、ターメリックは古くから民間薬として利用されていたこともあり、独特な風味以外では健康面での効果を期待する人も多いです。

ターメリックに含まれる栄養素は?

ターメリックの主な栄養素はポリフェノールの一種である「クルクミン」です。抗酸化作用や抗炎症作用が期待でき、シミやシワの予防に取り入れたいスパイスです。他にも肝機能の改善や、消化を助けることが期待されています。

ターメリックの1日に摂取できる量は?

クルクミンは1日8gの摂取でも毒性はないとされていますが、ターメリックによる肌トラブル(接触性皮膚炎、薬疹、アレルギーなど)の報告も多数あります。ターメリックの研究はこれから進むことを考慮すると、大量に摂り続けないよう注意が必要です。

国際機関JECFAでは、クルクミンのADI(一日許容摂取量)は体重1kgあたり3mgとされています。ターメリック中のクルクミンの含有量は3〜4%なので、ターメリックの1日で安全に摂取できる量は、体重1kgあたり100mg体重50kgなら5gとなります。

ターメリックとウコンの違いとは?

「ターメリック」の和名が「ウコン」なのでターメリックとウコンは同じと捉えることもできますが、厳密には違うものです。代表的なウコンの種類は、「春ウコン」と「秋ウコン」の2種類です。一般的にターメリックは秋ウコンのことを指します

春ウコン

春に花が咲くことからそう呼ばれます。漢方に使われる生薬でもあり、秋ウコンより強い苦味が特徴です。含まれるクルクミンの量は秋ウコンより少ないとされています。健康食品に使用されることが多いです。

秋ウコン

一方、秋ウコンは秋に花が咲きます。こちらがターメリックの原料として使われるウコンです。春ウコンよりも多くのクルクミンが含まれ、風味が良いので食用に使われます。

 

ターメリックのスゴい効能

ここまで、ターメリックの特徴をお伝えしてきました。ここからは、ターメリックを摂ると得られる、効能についてお伝えします。

記憶力アップ

2006年の、アジア人を対象に実施された調査研究では、記憶力や集中力などをテストで測ると、カレーを多く食べた人の方が、あまり食べなかった人より高得点を取ったという結果が出ました。これを受け、アジアでよく食べられているターメリックが、記憶力や集中力の向上に役立ったのではないかと考えられました。

また、クルクミンには抗炎症作用があると言われており、記憶障害につながる病気の予防に効果があると考える研究者もいます。

咳や風邪の治りを早くする

インドやスリランカでは、人々の間に世界三大伝統医学の一つであるアーユルヴェーダの考え方が浸透しており、風邪をひいたら最初に家で対処をする人が多いです。このときよく飲まれているのが「ターメリックを入れたホットミルク」。

ターメリックには、抗炎症作用や抗菌作用、抗酸化作用などがあるとされ、風邪気味のときにぴったりです。風邪のひき始めにはぜひ試してください。

傷の治りを早くする

ターメリックにはフェノール化合物が含まれており天然の防腐剤になります。また、抗菌作用があることから天然の消毒剤として使用できます。アーユルヴェーダの地域では、軽い傷ややけどにターメリックを直接、またはギーと混ぜたものを傷口に塗って治すということが行われていました。

美肌効果

ターメリックから抽出したクルクミンを含むエキスで作ったクリームを、人の肌に塗り、観察した研究があります。その研究結果では、クルクミンを含むエキスが、紫外線によりダメージを受けた皮膚の状態を改善し、老化から皮膚を守るということが報告されています。

また、ターメリックのエキスを経口摂取すると、長期間紫外線を浴びた際の、皮膚の弾力性の低下やしわの形成、メラニンの増加が抑えられたという研究結果もあります。以上のことから、ターメリックは美肌効果をもつと考えられます。

 

ターメリックを食べることで予防できる病気は?

ここまでターメリックに期待できる効果についてお話ししてきました。次に、どんな病気の予防につながるかを解説していきます。

ガン

今までに、クルクミンの摂取が前立腺ガンの予防に、ターメリックの摂取が前立腺ガン以外の他のガンや心臓病に対する予防効果があるとする研究も発表されています。ターメリックが、ガン細胞の成長を妨げる働きをする可能性があるためです。

ただし、クルクミンの効果についてはまだまだ研究途中であり、人間を対象にした研究が少ないと言われています。ですので、クルクミンのガン予防については断言できない部分も多くあります。

アルツハイマー病

ターメリックに含まれるクルクミンが、アルツハイマー病を予防する研究結果もあります。この研究では、ターメリックによって、アルツハイマー病を発症させたマウスの脳内のプラーク(アルツハイマー病に強く関係すると言われるもの)が増えるのを抑制できるという結果が出ました。

今後も研究を進めることが必要ですが、ターメリックとアルツハイマー病の関係性は否定できないとされています。

高脂血症

ターメリックに含まれるクルクミンには、コレステロール値を下げる効果も期待できます。脂肪の分解をする、胆汁の分泌をクルクミンが促進します

胆汁の原料にコレステロールが使われるので、胆汁の合成量が増えればコレステロールの消費量も増え、その結果コレステロールが減少します。

 

ターメリックの活用方法、レシピ

ここからはターメリックの活用方法をお伝えします。

ソースに混ぜてスパイシーな味を楽しむ

ターメリックを調味料に加えると、スパイシーな味わいになります。ケチャップ、マスタード、ソースなどに追加して、いつもと違う風味をお楽しみください。

黒コショウと合わせて吸収力アップ

ターメリックを黒コショウと一緒に摂ると、ターメリックの吸収力を2,000倍にする可能性があるとされています。味にアクセントをつけることができるので、いつもの野菜炒めやサラダに加えてみてください。

いつものスープをエスニック風に

ターメリックは野菜との相性が抜群です。スープに加えれば、よりいっそう体を温めることもできます。さらにターメリックを加えることで、色味を付けることもできるので見た目も楽しめます。

デトックススープの注意点とは?| 毒出しアレンジレシピもご紹介

 

ターメリックを使ううえでの注意点

これまで、ターメリックの効能や使い方などをお伝えしてきました。この章では、ターメリックを取り入れる際の注意点を解説していきます。

胃潰瘍の人は避けよう

ターメリックには、胃酸の分泌を増やす効果があるので胃潰瘍が悪化する恐れがあります。胃潰瘍の人は特に摂り過ぎには注意が必要です。

摂り過ぎは控えよう

ターメリックの原料であるウコンは、薬などが原因で肝臓がダメージを受ける、薬剤性肝障害の原因薬物としても知られています。2005年の調査では、薬剤性肝障害の原因の約4分の1がウコンであることが報告されました。

よってターメリックも、長期間にわたって大量に摂取することは避けるのが賢明です。

まだまだ研究途中なので自分の体を観察しよう

健康上のさまざまな効果が期待されているターメリックですが、今までの研究結果には違いのある面も多いです。ですので、絶対に摂らなくてはならない、ということはありません。1つの食材として、ターメリックを取り入れて食事を楽しむことがおすすめです。

風邪のひき始めに摂る際も、良くならない場合は病院で診察を受けることも必要です。

 

まとめ

さまざまな健康効果もあり、毎日の料理のアクセントにもなるターメリック。料理やドリンクだけでなく、小さな怪我や体調の変化に合わせた使い方もできます。

あなたもぜひ、生活の一部に取り入れてみてください。

この記事の監修者

田中 康規 麻酔科医/ヘルスコーチ

 
EARNS モアシー